「酒、たばこの味に違和感」で発覚 食道がんを経験した著名人たちが明かす初期症状 「後悔するのはがん検診を受けていなかったこと」
胃酸分泌を抑える薬を服用すると……
昨年2月、東京大学と朝日生命成人病研究所の研究グループが、胃酸分泌を抑える薬の一種を長期服用すると胃がんリスクが上昇するとの研究成果を発表したのだ。
「胃がんの主な原因はピロリ菌の慢性感染ですが、これまでは胃酸抑制剤を服用することで胃が除菌され、がんリスクも低下すると考えられてきた。ところが新たな研究データによれば、抑制剤の一種を長期にわたって服用すると、胃がんリスクが約2倍になる可能性があると指摘されたのです」(医療ジャーナリスト)
約20年で3度がんと診断
研究グループは国内患者1100万人分の診療データから、約5万4000人のピロリ菌除菌患者を抽出。他の抑制剤服用患者と胃がんの発症リスクを比較した。
「グループが調べたのは『カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)』と呼ばれる抑制剤の一種です。このタイプの薬を長期間服用すると、胃に生息する細菌の種類が変化し、胃がんリスクを増大させるという。別の抑制剤『プロトンポンプ阻害薬(PPI)』の長期服用でも、胃がんリスクが上昇するとの先行研究が存在します。食道がんと胃がんのリスクをどうはかりにかけるべきか、専門家の間でも意見が分かれていると聞きます」(前出の医療ジャーナリスト)
その食道・胃がんのどちらも経験しているのが、参院議員の鈴木宗男氏(77)だ。鈴木氏が“がん闘病”をこう振り返る。
「私はこれまで3回、がんと診断されました。最初は03年の胃がんで、この時は胃の3分の2を切除し、体重も72キロから62キロへと落ちました。その7年後、定期検診で今度は食道がんが見つかったのですが、ごく初期だったため、内視鏡手術でがん細胞を取り除くだけで済みました」
その約2カ月後、10年12月に鈴木氏は収監されるが、刑務所でも月1回、特別に一般病院での検査が許されていたという。
仮釈放を迎えたのは1年後の11年12月。そして19年に再び、食道内に腫瘍が確認されたが、この時も早期発見だったことから、内視鏡手術で事なきを得たそうだ。
「食道がんに関しては2回とも自覚症状はなく、医師からは胃を切除したことで食道に負担がかかった可能性を示唆されました。胃がんの時と違って、食道がんでは術後に大きな体調の変化もありませんでしたが、困ったのは“炭酸とアルコールが食道によくない。お酒もコーラもダメだ”と医師から言われたことでした。私はビールが大好きなものですから」
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