ヒグマの胃から肉片や骨片が9キロ…北海道・朱鞠内湖で襲われた54歳「釣り人」地元猟友会が語った“駆除しても危なすぎる実情”

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三毛別事件とは

 集落にはその年11月頃から、冬眠の機会を逸したヒグマが現れ、トウキビが盗まれるようになっていた。12月9日、ヒグマが一軒の人家を襲い、子供を撲殺し、妊婦を咥えて山に連れ去った。翌日、北海道警や陸軍歩兵連隊などの捜索隊がヒグマを追い詰めたが、もう一歩にところで逃がしてしまう。ヒグマがいた付近を確認すると、連れ去られた妊婦の頭部の一部だけが見つかり、ほとんどが食べられていた。

 同日夜、子供と妊婦の通夜が行われたが、そこにヒグマが乱入。大混乱となった参列者たちは何とか逃げ果せたものの、ヒグマは近隣の別の家を襲った。壁を打ち破り、囲炉裏を飛び超えてなだれ込むと、まず妊婦を襲ったという。そして空腹に任せて次々と女性を襲い、食い殺した。

 全部で7人が殺され、3人が重症を負った獣害史上最悪の惨劇だった。ヒグマは12月14日に熊撃ち名人と呼ばれた老マタギによって撃ち殺された。体長2・4メートル、体重380キロのオスだったという。

「ヒグマは美味いと思ったら同じものばかり襲う習性があるんです」

 今回駆除されたヒグマは体長1・5メートル。三毛別事件と比べても小さい。

「ヒグマとしては中くらいの小といったところですね。とはいえ、体長1メートルのヒグマでも人を襲うことはありますよ。子グマだったとしても安心はできません。子グマの近くには必ず母グマがいますから、むしろ危ないとも言える。子グマのほうから興味本位で人間に近づいてきても、母グマはうちの子に何をすると人間を襲ってくる可能性があるんです」

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