「僕は母に愛されなかった。だから妻との間には…」 2度の不倫・再婚を“毒親”のせいにする50歳男性の苦悩

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最初の結婚と不倫、再婚

 その穴を埋めるように彼は女性を求めた。そして就職して3年目には学生時代からつきあっていた恋人と結婚したが、彼女が子どもをほしがるようになったとき、彼は急に心が冷めてしまったという。

「子どもを作るというのが想定外でした。僕は彼女が好きで結婚したけれど、家庭を作りたいと思っていたわけではなかったと自分の本音に気づいてしまった。ずっと避妊具をつけていたのですが、あるとき彼女から『もうつけないで。子どもがほしいの』と言われて急に怖くなったんです。その後、社内の同僚と関係をもちました。この人となら一緒にやっていけるかもしれないと思ったころ、妻のほうから離婚を切り出してきました。恋人時代は楽しかったけど、あなたは家庭に向いてないと言われて。僕自身もそうだねと言うしかなかった」

 不倫はバレてはいなかった。28歳ですでにバツイチとなった雅史さんは、離婚後、同僚女性である舞子さんとの関係を続けた。社内恋愛だから慎重にしなければと思っていたが、彼女は社内の友人たちに雅史さんとの関係を話していたらしい。噂が広まりかけたところで、彼女と結婚するしかないと判断、30歳で再婚した。

「舞子とは、僕の精神衛生上は結婚する必要がなかったと思っています。でも社内の雰囲気で結婚するしかなかったのも事実。でも前の結婚で、僕はすでに結婚には向いてないとわかっていました。結婚すると女性は母のようになる。結婚してすぐ、舞子に『今日は私も残業になりそうだから、惣菜を買って帰るね』と言われたとき、僕、無意識にキレたんですよ。惣菜なんか買ってくるな、だったら外で食べて帰る、と。自分でもどうしてあんなにキレたのかわからなかったけど、妻が急に死んだ母に見えたんだと思う。オレを責めるのはやめてくれ、と心の中で思っていた」

 妻は「どうしたの、なんか悪いこと言った?」ときょとんとしていたというが、当然だろう。彼はあわてて「いや、とにかく買った惣菜が苦手なんだ」とごまかした。母は亡くなってまでも自分を支配しようとしていると、そのときは感じたそうだ。

「冷静に母との関係を考え直したりする時間が必要だったんだと思う。でもそうすることなく最初の結婚をし、その結婚について考える間もなく、二度目の結婚をしてしまいましたからね。母の亡霊から逃れるためだったとはいえ、軽率だったと思います」

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