乱れた腸内細菌がお風呂で家族に伝播! 健康長寿につながるビフィズス菌の摂取、活用法

ドクター新潮 ライフ

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 流行する「腸活」の中でも、大腸に作用するビフィズス菌摂取は健康を維持するための重要な要素だ。正しい活用法を認識すれば、健康長寿の道も開けるというが、ならば、ビフィズス菌は体に何をもたらすのか。最新研究を踏まえ、専門家に効能を解説してもらった。

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 私たちのお腹(大腸)の中には、良い菌も悪い菌も含め、数百種類・約40兆個の腸内細菌がすんでいます。ビフィズス菌を摂取しても、腸内に定着することはほぼありませんが、腸内を通過している間は他の腸内細菌と一緒に作用するため、毎日継続的に生きたビフィズス菌を摂取すると効果が高いと考えられます。

〈こう説明するのは、森永乳業・腸内フローラ研究室室長で、20年近く腸内細菌を研究している農学博士の小田巻俊孝氏だ。

 近年、腸内の状態を健康に保つ「腸活」の重要性が世間に浸透し、善玉菌の代表であるビフィズス菌に注目が集まっている。「ビフィズス菌」という言葉を知らない人はほとんどいないとはいえ、森永乳業の調査では、ビフィズス菌について誤解している人が多いことが分かったという。

 ビフィズス菌の研究は今も途上にあり、新たな発見が続いている。最新の研究報告を踏まえ、小田巻氏が解説する。〉

ビフィズス菌は加齢で減少

 腸内のビフィズス菌は、加齢によって減少することが知られています。その減り方には個人差があり、70代の腸内細菌を調べると、ビフィズス菌の割合が多いままの人もいれば、減少が早い人がいることも分かってきました。

 私たちは、これまで0歳児の赤ちゃんから100歳以上の方までの腸内細菌の傾向を調べてきました。

 授乳中の赤ちゃんは、ビフィズス菌が腸内に大変多く、腸内細菌のうち、ビフィズス菌を含むアクチノバクテリア門の割合は平均して4割を超えています。母乳には、赤ちゃんが分解できないヒトミルクオリゴ糖が含まれ、その糖が腸内に届いて、ビフィズス菌がエサとして好むため、その比率が高くなっているのです。

 離乳期になると食べ物の範囲が広がり、細菌にとっていろいろなエサが増えるため腸内細菌の種類が増え、ビフィズス菌の割合は減っていきます。4~5歳になれば、その状態は大人とほぼ同じになります。

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