乱れた腸内細菌がお風呂で家族に伝播! 健康長寿につながるビフィズス菌の摂取、活用法

ドクター新潮 ライフ

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家族は同じビフィズス菌を共有

 また、一緒に住んでいる家族が、同じビフィズス菌を腸内に保有していることも分かりました。これは家族間で腸内細菌が行き来していることを示しています。伝播ルートは複数あると思いますが、日本人特有の習慣であるお風呂に注目して調べると、家族がお風呂を出て少なくとも30分以内では、生きたビフィズス菌が湯の中で確認できました。これは、お風呂で腸内細菌が伝播する可能性を示していることになります。つまり、お父さんがもし、酒席が多く暴飲暴食をしているなら一番風呂に入るのはよくない、ということになります。腸内細菌が乱れていれば、それが家族に共有される可能性がありますから。

 また、赤ちゃんの場合、母親の産道を通ることでビフィズス菌が受け継がれると考えられています。ビフィズス菌は母親から赤ちゃんへの「ファースト・プレゼント」なのです。

 そのため、通常分娩で生まれた赤ちゃんの腸内には母親から受け継いだビフィズス菌が多い一方で、帝王切開や早期出産で生まれた赤ちゃんにはビフィズス菌は非常に少ないのが特徴です。すると、感染症発症のリスクが高くなるので、早期に赤ちゃんにビフィズス菌を摂取させることが大事だと思っています。

ヒト由来のビフィズス菌の利点とは

〈かつて、判明していたビフィズス菌は30~40種だったのが、この10年で新種が次々と見つかり、今では100種を超えた。そのうち、ヒト由来のビフィズス菌は10種類程度である。

 世界的に見れば、ヒト以外に由来するビフィズス菌が産業利用されるケースが圧倒的に多い。しかし、森永乳業はヒト由来のビフィズス菌にこだわり製品化を続けている。〉

 人の腸内にすむビフィズス菌は、ずっと人の中で進化してきました。

 ヒト由来のビフィズス菌と動物由来のビフィズス菌の違いはさまざまです。例えば母乳に含まれるヒトミルクオリゴ糖を利用するため赤ちゃんの腸内にはビフィズス菌が多いとお話ししましたが、この能力を持っているのはヒト乳児由来のビフィズス菌だけ。加えて動物由来のビフィズス菌は母乳中に含まれるリゾチームという、菌を殺す酵素で死んでしまいます。当たり前のようですが、ヒト由来の方が人間の体内で生きるために進化してきたということです。また、ヒト由来のビフィズス菌は細胞増殖や赤血球造成を助ける葉酸というビタミンの産生量が相対的に多く、赤ちゃんの正常な免疫発達に寄与するインドール乳酸という物質を作ることも分かりました。

 ヨーグルトを製品化する際にヒト由来のビフィズス菌があまり利用されないのは、乳製品に適応させることが容易ではないためです。ヒト由来のビフィズス菌は酸素に触れると簡単に死滅し、製品化が難しい。手間もコストもかかります。しかし私たちは、動物由来に比べてヒト由来の方が人体に良い働きをすると考え、ヒト由来のビフィズス菌にこだわり、製品化しているのです。

 ちなみに商品を見る時、ヒトにすんでいない種類のビフィズス菌は「アニマリス種」、「ラクティス種」、もしくは「ラクティス亜種」と表示されていると思います。

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