乱れた腸内細菌がお風呂で家族に伝播! 健康長寿につながるビフィズス菌の摂取、活用法

ドクター新潮 ライフ

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腸内に炎症を引き起こす細菌が増殖

 高齢になるにつれてビフィズス菌が減少する原因は分かっていませんが、免疫機能や胃酸の分泌量の低下などが指摘されています。

 問題は、ビフィズス菌には抗炎症作用があり、それが減ると腸内で炎症を引き起こす細菌が増え、万病のもとになり得ることです。実際、ビフィズス菌が少なくなるなど、高齢者型の腸内細菌は、炎症性物質を多く作っていることが分かりました。これが体にダメージを与え、免疫のバランスを崩し、ひいてはがんなどの大病を患う可能性が増していくと考えられます。

日本人はビフィズス菌が多い

 腸内細菌は、採取した便から抽出したDNAを分析することで分かります。

 最近の研究で、日本人はビフィズス菌が多いことが分かりました。欧米では腸内細菌のうち、ビフィズス菌の割合が1%前後の人たちもいる中、日本人は突出して高く、平均して18%弱になります。さらに年代別で詳しく見ると、離乳後の幼児ではビフィズス菌の比率が2割を切る程度となり、その後は50代までおおむね同じ比率で推移しています。ところが、60代以降は徐々にその割合が減少していってしまいます。

 なぜ日本人はビフィズス菌を多く保有するのか。原因の一つとして日本人特有の遺伝子型が考えられます。欧米の人たちは昔から乳製品をよく摂取し、乳糖を分解しやすい体質になっているのに対し、日本人は乳糖を分解する能力が低い遺伝子型の人がほとんど。すると、乳糖は小腸で分解・吸収されずに大腸まで届き、そこでビフィズス菌のエサになるため、日本人はビフィズス菌が多いのではないかと考えています。その他に和食との関係も推測されています。ただ、ビフィズス菌が少なくても欧米の人たちが明らかに不健康というわけではないように、その多寡だけで良しあしを説明することはできないのです。

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