「代理出産」はこんなに危ない! 日本人女性が「供給者」になる新たな貧困ビジネス

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「生殖アウトソーシング」

 米国の商業化された代理出産の影響で生まれたのが「生殖アウトソーシング」です。先進国に住む依頼者がインドをはじめとする発展途上国の女性に産んでもらうという形態で、2000年代から普及しました。もっとも、後述するようにこの「代理出産業」の発展によって市場ではさまざまな問題が生じ、やがて法整備がなされていきます。結果、主要なアウトソーシング先が外国人の代理出産利用を禁じていくのです。

 まず15年にインド、タイで、翌年にはネパール、カンボジアでも同じ措置がとられ、18年にはイスラエルでも外国人の利用が禁止されました。それ以前にインドでは、12年にゲイカップルの利用が禁じられています。これに伴い、アウトソーシング先も変化していきます。元々盛んだったインドやタイで規制されたことから、ロシアや東欧に市場は移っていきました。現在は南米やアフリカでも、新たに市場が開拓されつつあります。

代理母の報酬は3万~5万ドル

 米国内でも、例えばニューヨーク州では20年3月に独身や同性カップルを含む商業代理出産が合法化されました。同州は先の「ベビーM事件」が起きたニュージャージー州に隣接し、元々反対派も多い地域である一方、富裕層やゲイカップルも多く、すでに代理出産で産まれた子が多数いるという背景があります。この法案は長らくフェミニストらの反対に遭っていたのですが、ゲイ男性団体のロビー活動もあり、一昨年に成立をみました。それでもやはり「裕福な男性たちを利するものだ」という批判は浴びています。

 米国では代理母と同程度の報酬が担当医師にも支払われ、そこに弁護士、あっせん業者への支払いも加わり、費用がかさみます。コロナ禍以前だと、依頼者が支払う総額はおよそ15万~20万ドルが“相場”となっていました。代理母の報酬も上昇しており、現在は約3万~5万ドル以上です。

 こうした代理出産を日本人が国内の有名あっせん業者を通じて米国の代理母に頼んだ場合、コロナ禍以前で1億円ほどが必要でした。参考までにロシア人やウクライナ人の代理母では、それぞれ5千万円、2千万円程度だったといいます。

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