「50歳でも親になれるなんて、男だけズルい」まだ見ぬ我が子を「卵子凍結」に託す女性たち

食・暮らし2017年6月7日掲載

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■大ショック、48歳の男友達が24歳の子とデキ婚

「美魔女」でも卵子の老化は防げない……

 外資系企業でバリバリ働く山田藍さん(仮名)48歳。大学時代の男友達のデキ婚の知らせにひどく落ち込んでいる。元彼で今でも忘れられない、わけではない。相手の年齢が24歳ということにだ。

 藍さんは同じく外資系で働く同じ年の夫と31歳の時に結婚。2人とも仕事が楽しくて仕方なかったから、子作りは35歳を超えてからと決めていた。

 しかし、なかなかできない。病院で検査をしてもどちらにも問題はないからなお困った。40歳から体外受精に踏み出し8回トライしたものの妊娠には至らず、心身ともに限界を感じた。結局、43歳のときに子供を持たない人生を歩く決意をする。夫も納得してのことだった。

■「美魔女」でも卵子の老化は防げない

 落ち込む藍さんに追い打ちをかけたのは、2012年に放送されて大反響を呼んだNHKスペシャル「産みたいのに 産めない~卵子老化の衝撃~」だった。女性の卵子は年齢とともに老化し、40歳以上の女性が妊娠・出産できる可能性は20歳代のおよそ半分になるという事実。健康で見た目がどんなに若くても、卵子の老化はとめることができない。

 自分の不妊の原因は「卵子の老化」だったかもしれない――。
 藍さんは自分の無知を激しく後悔したという。

■体外受精をすればすぐに妊娠できる、という勘違い

「美魔女」でも卵子の老化は防げない……

「卵子の老化」が知られるとともに注目され始めたのが、「卵子の凍結」だ。一年でも一日でも「若い」卵子を凍結して、将来の出産に備えるというもの。2015年浦安市が卵子凍結に助成金を出すことがニュースになったことで一般にも知られるようになり、6月1日発売の週刊文春でも『「卵子凍結は20代で」は本当か?』という特集が組まれるなど、いま大きな話題を呼んでいる。

 卵子の凍結は不妊治療にも有効的で、なぜなら、日本は不妊治療先進国な上、体外受精の実施件数も非常に多いのにもかかわらず、出産率は最低レベル。その理由は、不妊治療をスタートする人の大部分が35歳以上、年齢的な問題がとても大きいからだという。

「卵子は老化し、それが不妊につながるということ。そして、卵子を凍結する手段があるということ。もし20代でそれらのことを知っていたなら、私は迷わず卵子を凍結したと思う」そう藍さんは話す。

 アラフィフまで独身生活を謳歌した同じ年の男友達は子供を持てるのに、私はもう我が子を抱くことはできない――。夫にも双方の両親にも申し訳ない気持ちで、藍さんはまだ気持ちを整理しきることができていないという。

輝く未来を見るような気持ち

「卵子の凍結」には、採卵する際の身体への負担や、凍結した卵子を体外受精したときの受精卵や胎児への影響がはっきりしないなど、考えられるリスクはもちろんあるというし、倫理的な問題も拭えない。でも、「どうしても子どもが欲しい」という人にとって、体外受精や卵子の凍結は「希望」であることに違いない。

 10年以上不妊で悩み、40歳を目前に体外受精にトライした漫画家・小林裕美子さんは、採卵された自身の卵子を見たとき、「私の希望」で「輝く未来を見ているような」気持ちになったという。また、それ以前は何とも思わなかったのに、卵子の凍結保存をする女性の気持ちがわかる気がしたと、エッセイ漫画『それでも、産みたい 40歳目前、体外受精を選びました』で、以下のように描いている。


『それでも、産みたい―40歳目前、体外受精を選びました―』より


 キャリア形成のため、そもそもパートナーがいない、待機児童問題はじめ子育てできる環境が整っていない……。出産適齢期といわれる20代に産むことが難しい今の日本だからこそ、「卵子の凍結」という新たな手段がますます注目されていくのではないだろうか。

デイリー新潮編集部