対談連載:難治がんとの賢い闘い方1 東京目白クリニックの大場大院長×虎の門病院消化器外科の進藤潤一医長

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難治性の代表的な胆道がんと膵がん

大場:サバイバーの生存率をみると、最初の治療から5年たっても生存率が右肩あがりになっていかないのは、常に再発リスクが継続していることを意味しています。これについても、別の回で進藤先生に詳細を教えていただきたいと思います。ほかの難治がんとして代表的な疾患は、著名人の訃報でもよく耳にする胆道がんと膵がんでしょう。特に膵がんは、昨今急増していることを強く実感しています。それらについて、進藤先生、簡単に説明してください。

進藤:胆道がんは肝臓から十二指腸につながる胆汁の流れ道(胆道)に発生するがんで、その発生部位によって、肝内胆管がん、肝門部領域の胆管がん、胆嚢がん、肝外(遠位)胆管がん、十二指腸乳頭部がんといった具合に分類され、それぞれ性質が異なります。いずれも早期に発見され、適切な治療がなされれば根治の可能性はありますが、胆道がんの問題点の一つは発がんの危険因子がよくわかっていないため予防が難しく、発見時には進行した状態で見つかるケースが多いという点にあります。

また、有効な薬剤(抗がん剤)が少ないということも胆道がんが難治がんであるゆえんの一つです。膵がんは消化器がんのなかでも悪性度の極めて高いがんであり、進行が早く、早期に症状が出にくいため、これも発見された時にはすでに進行した状態であることが多くあります。周囲に多数の血管や神経、重要な臓器があるという膵臓の解剖学的な問題も膵がんの治療を困難にしている要因の一つです。

大場:ありがとうございます。各論についてはいずれまた。生存率が低い難治がんだから悪い結果になってもやむを得ないと思うのか、難治がんだからこそ、ベストな治療戦略が必要と考えるのか、病院や医師の選び方も含めて、進藤先生との対談で明らかにしていきたいと思います。

進藤:難治がんの治療はそれこそ日進月歩であり、何が正しく、何が間違っているというのを明確に分けて考えることはできません。その中で我々医療者の役割というのは、現在持てる知識と技術を駆使し、最も可能性の高い方法でがん患者さんたちの社会復帰の手助けをすることにあると思います。異なる考え方を大場先生とぶつけ合いながら、最適解を導き出すような議論ができるとよいなと私も期待しています。

デイリー新潮編集部

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