高齢者は免許返納しない方がいい? “弱い高齢者”にならない秘訣を専門家が伝授

ドクター新潮 健康 長寿

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コロナ禍の「高齢者が危ない」という言説

 この2年余りのコロナ禍でも、「高齢者が危ない」といわれてきましたが、それこそ高齢者をひとくくりにすべきではありません。80代や90代で持病があり、免疫力が低下している高齢者にとって、コロナが脅威だったのは事実です。しかし、メディアなどがだれにとっても危ないかのようにあおったため、定年後の旅行を楽しみにしていた人たちや、おいしいものをたくさん食べようと思っていた人たちが楽しみを奪われ、老け込む結果につながってしまいました。その意味で、これからは、メディア情報のなにをどの程度信じるかというメディアリテラシーが、いままで以上に重要になってくると思います。

 それでは、グレーゾーンから転落しないために、すなわち老年格差が生じる社会で勝ち組になるにはどうすればよいのか、具体的に述べていきます。

医学より栄養学

 最も大切なのは健康寿命を延ばすことで、それには栄養が重要になります。実は、医学は栄養に無頓着です。医学とは病気という出っ張った杭をへこませるためのもので、結果として寿命は延びても、健康で元気な状態を保証してはくれません。健康寿命を延ばすためには、むしろ栄養学が重要で、よぼよぼになるまでは栄養学、よぼよぼになってからは医学なのです。

 栄養を取るうえで誤解されているのが肉です。肉はコレステロールが蓄積するからと、悪者にされがちですが、むしろ高齢者は肉を食べたほうがいい。タンパク質をたくさん取ることができ、それは筋肉や、脳内の神経伝達物質で精神を安定させるセロトニンの材料にもなります。淡泊な鶏むね肉などより、脂質の多い肉を意識的に食べたほうがいいと思います。

 コレステロールも最近の米国の研究では、少し高めのほうが長生きできるとされています。コレステロールは年を取ると体内で作られにくくなりますが、その値が低いと、うつやがんになりやすいというのです。

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