高齢者は免許返納しない方がいい? “弱い高齢者”にならない秘訣を専門家が伝授

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普通に生活すると使わない前頭葉

 健康寿命を延ばすために栄養摂取と並んで重要なのは、脳を使うことです。特に前頭葉を意識して使うことで、ボケを防止できます。前頭葉は一般に40代から老化が始まります。日本の平均年齢は46歳前後なので、日本人の6割程度はすでに前頭葉が老化していることになります。

 前頭葉が老化すると、新しいモノやコトへの対応力が低化していきます。40代を超えると、外食の際に行きつけの店にしか行かなくなったり、同じ著者の本しか読まなくなったり、料理をする際に同じレシピしか使わなくなったりするのがいい例です。

 しかし、前頭葉を使わなくても日常生活は問題なく送れます。ロボトミー手術を考案してノーベル賞を取ったポルトガルの精神科医、アントニオ・エガス・モニスは、統合失調症患者に手術を施して前頭葉を切り取ってしまっても、知能レベルが術前と変わらないと証明しました。要するに、普通に生活していると使わなくなってしまうのが前頭葉なのです。それだけに、新しい環境や新しい人間関係を意識的に作って、前頭葉を使う必要があります。

自分とは異なる意見に触れる

 たとえば、いつもは「正論」を読んでいる人が、あえて「週刊金曜日」を読んでみる。なにも共感する必要はなく、怒りを覚えるのでいいのです。テレビでウクライナ情勢についてのニュースを見たら、ロシアの立場に立って考えてみるのもいい。池上彰さんの解説を聞いてうなずいているだけでは、脳は老化してしまいます。いつもと違った情報に触れたり、反論を考えてみたりすることが、前頭葉にとっていいのです。

 いまの高齢者も、その手前の世代も、詰め込み教育で育ってきています。欧米では小中高で詰め込み教育を行い、大学でディスカッションを中心に考える授業を行っているのに対し、日本は大学でも、教授の考えを詰め込まないと点数が取れなかったりします。そんな学校教育で育ってきた私たちは、これまで前頭葉をあまり使ってこなかっただけに、意識して使う必要があるのです。

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