「44歳夫」が今も思い出すキャリア妻の不倫を察した瞬間 そしてタクシーの中で2人がしていたコト

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 自身が不倫をして「妻と恋人、どちらかは選べない」とか「家族に嘘をついているのが心苦しい」とかいった理由で葛藤している男性たちは数多い。一方で「妻の不倫」に苦しむ人たちもいる。以前、探偵事務所で仕事をしている方に、「昔は妻が夫の不倫調査を依頼してくることが圧倒的に多かったが、今はときには半々くらいの割合で夫が妻の調査をしてほしいと言っている」と聞いたことがある。それほど妻の不倫も増えているのが現状なのだろう。【亀山早苗/フリーライター】

 木村雄浩さん(44歳・仮名=以下同)が、同じ部署で働く2歳年下の明代さんと結婚したのは29歳のとき。

「うちはなんだかんだで社内結婚が多いんです。僕も同じ部署で彼女と数年、一緒に働くうちに、人間的に素敵な女性だなと思い、つきあってほしいと告げました。社内恋愛は破局するとめんどうなことになりそうだけど、そんな心配もなかった。彼女の人間性はずっと見ていたので。明代のほうも同じ思いだったんでしょう。つきあって1年足らずで結婚が決まりました。結婚しても辞めない女性が大半だから、妻も部署は変わったものの仕事を続けました」

 同じ部署のみならず、社内でも友人の多い雄浩さんはみんなに祝福されて「人生でいちばん幸せな時期だった」と当時を振り返る。

 その後、妻はグループ内の別企業に転職、自分の「やりたかった部署」に配属されて仕事が楽しくなっていったようだ。

「妻は明るくて穏やかな性格だから、周りからも信頼されていた。ただ、仕事に関しては結婚してからのほうが貪欲になりましたね。『もう恋愛のことなど考えずに仕事に全力を傾けられる。結婚してよかった』と言われたことがあるんです。それを聞いたときは、少し複雑な気分でした。結婚してからだって、僕との関係は続くのに。恋愛感情は減少するとしても、男女としてはいい関係を築いていきたいと僕は思っていた。でも彼女は『男女関係は一丁上がり』みたいな気持ちでいるのかなと」

子どもができて泣いた妻

 さらに早く子どもがほしいと思っていた雄浩さんと、子どものことは「考えていなかった」という明代さんの違いが明らかになった。

「仕事が楽しい。今の場所で少し業績が上がるまで待ってと言われたら、何も言えませんよね。僕は学生時代からひとり暮らしだったから、家事も適当にできるし、彼女としては働きやすい環境だったんでしょう、職場も家も」

 避妊してよねと妻に言われて、雄浩さんは毎回、避妊具をつけていた。ところがあるとき、つけるフリをしてつけなかったことがある。妻は一瞬、おかしいと気づいたようだったが、雄浩さんは適当にごまかした。そして数週間後、妊娠がわかった。

「避妊してくれなかったでしょと責められましたが、したよと言い切りました。妻は泣いていましたね。夫婦間で子どもができて泣かれるとは思っていなかったから、僕もあわててしまって……。最初は産まないと言っていた妻でしたが、母親に相談してさすがに諫められたようです。子どもがいても仕事はできるし、僕もがんばるからと言うしかなかった」

 そんなとき、妻の両親から二世帯住宅を建てたいのだけれどどうかと申し入れがあった。妻の両親はすごくいい人たちだし、この分だと子育てにも不安を抱くであろう妻をフォローしてもらえるはずと雄浩さんは飛びついた。実は会社にも近くなるから、断る理由は何もなかったのだ。長女が生まれる前に引っ越しも完了した。雄浩さんが33歳のときだ。

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