日本人はマスクを外せなくなる? コミュニケーションに起きている異変…「顔学」の第一人者が警鐘

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週刊誌の写真で目線が入れられる理由

 未成年であったり、容疑者とはいえない疑惑の人だったり、週刊誌に掲載される写真には黒い目線が入れられることがあります。顔の一部を隠すのであれば「口線」でもいいはずなのに、なぜ週刊誌は口ではなく目に線を入れるのでしょうか。それは目が「その人が誰であるか」を識別するパーツだからです。したがって、それが誰か分からなくするために目線を入れる。誰であるかを判別不能にするために、「口線」を入れる週刊誌は存在しません。

 それでは、口とは何なのか。「感情」を伝えるパーツです。「目は口ほどにものを言う」とはいうものの、やはり目だけで感情を表現することは難しく、より動かしやすい口の表情によって感情は伝わる。相手の感情を読むためには、口もとが大事になるのです。

 神奈川県内のある市役所で、職員がマスクをつけたまま市民と接していたところコミュニケーションが上手くいかなかったために、マスクはしたままであるものの、その職員がマスクを外した時の顔写真を胸に貼って応対することにしてみた。すると、市民からの評判が良くなったそうです。

 このエピソードは、「その人の顔を知っている」ことがいかに大事かを物語っています。顔が分かっていれば、実際に応対する時にマスクをつけていても、ある程度、その人の表情や感情の想像がつく。あらかじめ頭の中にあるその人の顔のイメージを、脳が勝手に目の前にいるマスク姿の相手の顔に重ね合わせてくれるのです。

 というのも、実は人間は相手の顔をそれほど真剣には見ていないのです。

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