日本人はマスクを外せなくなる? コミュニケーションに起きている異変…「顔学」の第一人者が警鐘

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人は脳で顔を見る

 例えば、交番に貼ってある指名手配犯の顔は、みんな極悪人に見えますよね。それは、その人を「悪い人」だと思って見ているからです。しかし同じ人の写真が、「ノーベル賞受賞者」としてテレビで紹介されたらどうでしょうか。おそらく、「ちょっと癖が強いけれど、やはり普通の人とは違って個性的だな」などと思うはずです。良くも悪くも、「情報」によって顔の見え方は変わる。つまり、人は「目」と同時に「脳」で顔を見ているのです。

 マスクをつけた状態の顔しか分からない人については、「悪い人」、あるいは「ノーベル賞受賞者」と言われても、ベースとなる「目」で見た顔情報が少ないので、「脳」で見ようがない。このように、マスクで口を隠すことは、「人柄」を想像しながら行うコミュニケーションに大いに影響を及ぼす可能性があるわけです。

 以前、ある女子高生が「何人友だちがいますか?」というアンケートに対し、「500人」と答えたという話を聞いたことがあります。彼女は、ネット上でしか交流がない人のことも「友だち」に含めていたのです。マスク着用生活が続けば、この女子高生のように表面的な付き合いこそが友人関係なのだということになりかねない。これまでの人間関係の「距離感」というものが、根底から変わってしまう可能性があるのです。

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