妻と不倫相手、2人に刺された男の告白 「あと10年くらいたったら結局残るのは…」

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嫉妬深い、それ以外は完璧な妻

 ただ、千里さんが嫉妬深いことだけが彼の頭痛の種だった。

「僕が人妻だった千里に果敢にアタックしたために、彼女は『他の女性にもああやって猪突猛進に行くのではないか』と思ったようです。千里だから必死になったんだ、せっかく一緒になれたのだからこの幸せを壊すような真似をするわけないだろと、いつも言っていました。それでも信じられなかったのかもしれません」

 1日に何度も連絡が来る。返事をしないと電話を鳴らす。電話を切って取引先で会議をしていると、会社に「緊急連絡なんです」とかけてきたこともあった。

「オレの仕事を邪魔してどうする、どういうつもりなんだと怒ると泣きながら謝るんですが、数日するとまた、『早く帰ってきて』と連絡がある。妻を見ていて、妻は僕に嫉妬しているわけじゃなくて、嫉妬というモンスターに取り込まれて自分の中で妄想が広がっていくだけなんだとよくわかりました。嫉妬に関する本を買ってきて読んでもらったこともあります。彼女も頭ではわかっている。だけど嫉妬が入道雲みたいに、心の中にもくもくとわいてくるんだと言っていました」

 それ以外は本当に“妻として完璧”だった。料理はうまいし、子どもたちにもおおらかに接している。そして何より話していておもしろかった。だじゃれ合戦では、いつも妻が勝っていたという。頭の回転が並外れて速いのだ。下の子が4歳になったころ、千里さんは近所のファミレスでパートとして働くようになり、嫉妬心も薄れていったように思われた。

連られて行ったスナックで…

 “恋人”と出会ったのは、今から2年ほど前のことだった。

「気の張る接待が終わったあと、同僚が『最近、ときどき行くようになったスナックがあるんだけど』と誘ってくれたんです。そこでアルバイトとして働いていたのが、留美です。当時、28歳だった。彼女は店のママの姪。その年齢で、アルバイトをしながら大学に通っているというので、若いけど苦労した子なのかなと思っていました」

 なんとなく留美さんが気になった秀夫さんは、数日後、今度はひとりで店を訪れた。ママは不在で、留美さんが店を仕切っているようだった。

「何度も通っているうち、彼女が両親に捨てられ、親戚をたらい回しされながら大きくなったこと、18歳で水商売に入ったものの男に騙され、自棄になって死のうとしたところをこの店のママに助けられたことなどを知りました。ママの姪というのは嘘で、実は縁もゆかりもないのだそう。姪だと言ったほうが酔客にからまれないですむからと笑っていました。あるときなんて、深夜に行ったら、彼女、カウンターで勉強していたんですよ。むずかしそうな経済学。翌日が試験だからと。僕も経済学部だったので、彼女が持っていたテキストを見せてもらったら急にいろいろ思い出したので、テストにはこんなところが出るかもしれないと言ったんです。数日後、店に行くと、本当にそこが出ていい点がとれた、と。あのときの彼女の笑顔は忘れられません」

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