フランスで「アジア人襲撃」を呼びかけるツイートが拡散 本当の標的は中国人?

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アジア人も声をあげる時

 もちろん一番大切なのは、被害に遭わないことです。ですが、それと同時に必要なのが「自分たちが声をあげること」なのかもしれません。

 フランスのアジア人は、言語の壁もあり、犯罪被害に遭っても泣き寝入りしてしまうケースが多いそうですが、警察に訴えないと、被害が把握されず、その犯罪がなかったことになってしまいます。

 AJCFも「苦情を訴えないと、事件とされず、公式に犯罪とならないし、被害者もいないことになる。だから被害に遭ったらちゃんと通報しよう」と呼びかけています。

 私自身、今回の問題を受けて、自分たちが立ち上がり、行動する必要性を感じています。フランス在住でも、どこに住んでいても、人種差別に抗議の声をあげることはできます。

 先述のLe Mondeの記事に対して、下記のようなコメントがありました。

「政府は、これらのアジア人へのツイートを、状況が悪化する前に公に非難すべきです!」

 これは、政府が問題として扱い、適切な対応を取らないと、「犯罪がなかったかのように扱われる」だけでなく、加害者が野放しにされて、被害が拡大する恐れがあるということです。

 早期の事態収拾のためにもフランス政府の対応は重要なのです。

 フランスに住む日本人が政府に対して「アジア人差別を非難するよう」求めるのは簡単ではありませんが、政治家やジャーナリスト等のSNSにコメントする、メッセージを送るなど、小さくてもできることがあります。

 各人ができることを行動に移すこと、今の私たちが大きく声をあげることが、フランス在住のアジア人、また子どもたちの将来を左右するのではないでしょうか。

ヴェイサードゆうこ
翻訳家・ジャーナリスト。青山学院大学国際政治経済学部卒。ITベンチャーから転身し、女性向けweb媒体のライター、飲食専門誌の編集記者として執筆。2016年よりフランスに移住し、現在はYouTubeで現地情報を発信中(http://bit.ly/2uQlngQ)。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年11月9日掲載

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