従軍慰安婦を巡る発言で訴えられた「親日派教授」 講義を記録した音声データの中身は

国際 韓国・北朝鮮 2019年10月16日掲載

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リュ教授を擁護する声も各方面から相次ぐ

 韓国中から集中砲火を浴びる格好となったリュ教授だが、擁護する声も決してなくはない。9月24日には延世大キャンパス内に「リュ教授を政治的に罷免しようとする意図を持って世論の魔女狩りを先導するメディアと政治勢力を、強く糾弾する」との張り紙が登場。また翌日にはリュ教授の研究室のドアに、「大学はどんなに物議を醸しているテーマでも、学術的理性でアプローチして自由に論争できる唯一の場所」「外部の権力と数の力に頼り、少数派の言論を説く学者への報復の先頭に立つのは卑怯だ」とのメッセージが張り出された。同日には保守系の学生の集まり「延世大TRUTH FORUM」も、リュ教授を支持する声明を発表している。

 リュ教授はまた問題となった講義で、韓国のベストセラー本『反日種族主義』の記述を何度も例に挙げて自説に援用していた。『反日種族主義』は、韓国のこれまでの反日的な対日史観の通説を根本から否定する内容だ。

 その共著者の1人であるイ・ヨンフン元ソウル大経済学部教授も、自身のYouTubeチャンネル「李承晩TV」でリュ教授を援護した。イ元教授はそのなかで受講生が講義の音声データをメディアへ渡したことに対し、次のように批判している。「中国の文化大革命を連想する」「自分と政治的な考え方が異なる相手を罷免させるため敵対勢力に音声データを流出させた学生は、魂が破壊され、人生の敗北者に転落した」。そのほかチャ・ミョンジン元自由韓国党議員も自身のフェイスブックで、一部メディアを「紅衛兵」と批判しつつ、リュ教授を「良心的でしっかりした研究を行う学者」と称賛した。

 慰安婦への歴史認識を巡り、いつものように激しい反応を見せる韓国社会。その一方で根強いリュ教授支持の声は、新たな地殻変動の前触れなのだろうか。

高月靖(たかつき・やすし)
ノンフィクションライター。1965年生まれ。兵庫県出身。多摩美術大学グラフィック・デザイン科卒。韓国のメディア事情などを中心に精力的な取材活動を行っている。『キム・イル 大木金太郎伝説』『独島中毒』『徹底比較 日本vs韓国』『南極1号伝説』など著書多数。

週刊新潮WEB取材班編集

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