歴史を学べば日韓友好は進むのか 『検定版 韓国の歴史教科書』の困った内容

韓国・北朝鮮 2019年8月27日掲載

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 戦後最悪と言われる日韓関係に改善の兆しは見られず、テレビや新聞、雑誌、ネットでも関連の話題は尽きない。最近、増えてきたのは「政府間の関係はともかく、民間での交流で改善を」という論調。8月17日放送の「報道特集」(TBS系)でも、日韓の学生交流を取り上げていた。真摯な民間交流に異議を唱える人はいないだろう。

 こうした民間、特に若者同士の交流の際によく伝えられるのが「日本の若者は歴史を知らない」という韓国人の声だ。同番組でも韓国の若者がそのように言い、一方で日本の若者が「そうかも」と同意を示す光景が流されていた。

 ここで番組制作者側、あるいは韓国人が提示しているのは「日本人は(侵略などの)歴史を知らない。だから心からの反省、謝罪ができない。それでは相互理解は進まないのでは」という視点である。

 たしかに相互に理解しあうには、知識が必要だろう。しかし、民間交流を進めたいという日本の若者に同情すべき点も多々ある。よく指摘されるように、日本の歴史教育では近現代にかける時間が少ない。さらに加えて、そもそも韓国の若者が「知っている」という歴史と、日本の若者が学んだ歴史はかなり異なる。だから「こんなことも知らないのか」と驚かれても困るという面もあるのだ。「こんなこと」が日本で認めている史実とは異なることも多い。特に戦争終結から韓国独立あたりの経緯は、韓国人が学んでいる歴史は、国際的に見てもかなり独特のものなのだ。

 有馬哲夫早稲田大学教授は、中国や韓国が教科書などで教えている歴史は、日米など民主主義国のそれとは異なり、事実よりも「建国イデオロギー」「政治イデオロギー」が重視されたものになっている、と指摘する。著書『こうして歴史問題は捏造される』から、韓国の歴史教科書について述べた部分をご紹介しよう(以下、引用は同書第4章「中国と韓国が反証不可能な論議をするのには理由がある」より。一部言葉を補った)

『韓国の歴史教科書』が語る「独立運動」

 韓国の場合はどうでしょうか。中国が「共産党が日本軍を打ち破って無条件降伏させた」とミスリードしたように、韓国は「日本に宣戦布告をして連合国の一員として戦って勝った戦勝国」だとミスリードしようとします。

『検定版 韓国の歴史教科書』によれば、1919年に、孫秉熙を大統領とする沿海州のグループ、李承晩を国務総理にする上海のグループ、李承晩を執政官総裁、李東輝を国務総理総裁にするソウルのグループが合体して李承晩を大統領、李東輝を国務総理とする大韓民国臨時政府を作ったことになっています。この政府は民主共和制をとり、三権分立を明らかにした憲法を定めていたそうです。

 ところが、李承晩が独立ではなく、国際連盟の統治下の委任統治領にすることをアメリカ大統領ウッドロウ・ウィルソンに手紙で要請したことが明らかになり失脚します。

 その後、臨時政府は「外交活動」に力を注ぎ、パリ講和会議で独立請願書を「提出しようとした」(原文ママ)のですが果たせなかったため、ワシントンに欧米委員部(李承晩)、フィラデルフィアに韓国通信部(徐載弼)、パリ委員部(金奎植)を置いて「国際連盟とワシントン会議に独立を請願するなど、外交活動を続けた」ということです。

 ここまでは、潤色しているものの、虚構とはいえません。ただし、「提出しようとした」と、未遂に終わったことをわざわざ書くのはいかがなものでしょう。

 国際連盟もアメリカも「独立をめざす一勢力」とは見ていても、国として扱っていなかったことは明らかです。それでも、この教科書は、国家の体をなしていたというニュアンスを出したいのです。

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