31歳女性ライターが「顔出し」する理由と、それにまつわる危険を防ぐライフハック

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 2018年に東洋経済オンラインで最も記事が読まれ、新書『発達障害グレーゾーン』が現在5刷の気鋭のライター・姫野桂さんが「女性の生きづらさ」について綴る連載「『普通の女子』になれなかった私へ」待望の第6回です。今回のテーマは「女性が現代社会で生きていくことのリスク」。女性はもちろん、男性にも読んでいただきたい内容です。

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顔出しで仕事をするメリット・デメリット

 顔出しで仕事をする女性の多くが、男性から怪しげなメールやDMを受け取っていることをご存知だろうか? 少なくとも私の周りの顔出しライターや作家たちは見知らぬ男性からセクハラとも取れるメッセージや「二人きりで会いたい」といった内容のメッセージを受信している。中には卑猥な画像を送られてきた作家さんもいる。

 私も最近、そのような類いのTwitterのDMが増えてきたので、一時的にDMを閉じている。しかし、女性がこのような迷惑を被っていることを男性は「モテ」と勘違いして「あなたに魅力があるからだ」とトンチンカンなことを言う人もいる。

 仕事柄、プロフィール写真が必要とされることも多い。顔出しで仕事をすることで、執筆した原稿により説得力を得られるメリットがあるのも要因の一つだ。私もライター駆け出しの頃は顔出しをする予定はなかったが、周りからの強い勧めですることにした。文章だけで勝負をしたい気持ちもあったが、容姿を晒すことでより有利になるのならばと、顔出しを選んだ。しかし、女性が顔出しで表舞台に立つことで、危険な目に遭いやすくなるのもまた事実だ。

 昨年、NGT48のメンバー、山口真帆さんがファンの男性二人に自宅を特定され、自宅の前で暴行を受けた事件があった。そして、なぜか被害者である彼女が謝罪をさせられ、加害者は不起訴となった。最終的に山口さんは所属事務所から「会社を攻撃する加害者」と言われていたことを明かし、「今の私にNGT48のためにできることは卒業しかありません」と言い残しグループを卒業した。山口さんはアイドルなので、容姿も含めて売り出す必要がある。

 また、2016年には、小金井ストーカー殺人未遂事件が起こっている。これは、シンガーソングライターとして活動する女性が、ファンを自称する男にストーカーされ、ナイフで20カ所以上刺されて重傷を負わされた事件だ。

 二人とも、心身共に深い傷を負っていると予想され、心が痛む。小金井ストーカー殺人未遂事件では被害者女性は一時心肺停止状態にまで陥っている。このように、女性は表舞台に立つことで、ときとして命の危険に晒されることもある。私を心の病へ追いやったR氏も、女性が表舞台に立つことのリスクを全く理解していないと思われる行動があった。

 彼は、彼女ができたため私を捨てたが、私が彼女の存在に気づいたのは彼のSNSの投稿だった。ある時期から知らない女の子の写真をアップするようになった。それも、ピースサインなどの決めポーズではなく、隠し撮りっぽいものや「#ファインダー越しの私の世界」というハッシュタグがついていそうな、オシャレ写真に近いものだ(実際にはハッシュタグはつけていなかったけど)。彼女はおそらく、SNSに写真を投稿されていることを知らないのではなかろうか。また、R氏は彼女とはSNSで一切繋がっていないと言っていた。

 彼女の写真をガンガンアップするR氏のSNSを見ることで、精神的に大ダメージをくらい、半日動けなくなることも多かった。だったら見るなという話だが、どうしても気になってSNSストーキングをしてしまうのだ。

 R氏のSNSにアップされた情報を拾い集めると、彼女の人となりが見えてきて、通っている大学まで特定してしまった。しかも、音楽活動をしている子でバンド名も彼は投稿している。バンドの動画をアップするのは構わないが、遡るとデートをしている画像も投稿されている。彼女に彼氏(R氏)がいることが判明する。さらにSNSストーキングを続けると彼女のSNSアカウントも発見したが、そこにはR氏に関する情報はアップされていなかった。ここで疑問に思った。

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