設立111周年「全国老人福祉施設協議会」でパワハラ騒動 コンプラ担当役員が部下に「バカ」

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 パワハラやモラハラが厳しく問われる昨今、それを取り締まるはずのコンプライアンス担当者が部下に暴言を吐いていたら……。ミイラ取りがミイラになっている、そんな事態が、ある公益社団法人で起きていた。しかも、3千万円超の不正支出という“前科”がある組織である。

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 東京・千代田区の「全国老人福祉施設協議会(以下、老施協)」は、日本中の特別養護老人ホーム等およそ1万1千カ所が加盟する公益社団法人だ。前身の団体から数えれば今年で設立111周年を迎える“老舗”である。

 そんな老施協の不適正支出が報じられたのは、2017年4月のことだった。

「13年から16年度の4年間で、およそ3100万円の不正な運営費の支出があったと、毎日新聞などが報じました。銀座のクラブや赤坂の料亭などに使われ、理事らが飲み食いしたカネを“会議費”などとして計上していたわけです。問題なのは、老施協が厚労省から補助を受けている団体だということ。加えて加盟する特養などからも会費を取っていて、こっちもやはり補助金や介護報酬を受けている。税金で好き勝手やった側面のある“事件”ですよ。責任をとる形で当時の理事がほぼ全員辞職しましたが、石川憲会長以下、その後の役員選挙で再選した者も少なくなく、自浄はされていない感は否めません」(社会部記者)

「老人保健健康増進等事業」の名目で厚労省から受けた補助金は、今年度(2018年)は約1400万円。17年度はペナルティが課せられゼロ円だが、不正のあった4年間はそれぞれ、約2200万円(16年度)、820万円(15年)、2200万円(14年)、2500万円(13年)……と続く。年度によってバラつきがあるものの、少なくない税金が投じられている。世の納税者はもちろんのこと、“低賃金・重労働”が伝えられる介護職員にしてみれば、怒るのも当然の話である。

 不正に支払われた3100万円については、当時の理事ら33人に対し弁済が求められた。が、うち2人はこれに応じず、今年1月に老施協が計540万円を求める訴えを東京地裁に起こしている。

 不正支出問題は現時点でも“決着”していないワケだが、ここに来て新たに発覚したのが“パワハラ騒動”である。しかも、この不祥事を受けて新たに任命されたコンプライアンス担当の役員が、その当事者だというから笑えない。

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