北九州監禁事件 「緒方純子」受刑者から息子への20通の手紙

社会週刊新潮 2018年12月27日号掲載

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 平成の世に凶悪犯罪は数あれど、ここまで底知れぬ闇を感じさせた事件は珍しい。松永太(57)という稀代の殺人鬼によって運命を狂わされてしまった母子。目下、無期懲役囚として服役中の緒方純子(56)は、獄中から「息子」に手紙を送り続けていた。

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 2002年に「事件」が発覚したものの、その全貌が明らかになるにつれ、

「テレビ局の記者は“あまりに残酷すぎて映像にできない”と漏らしていました」

 松永との面会を扱った『人殺しの論理』(幻冬舎新書)の著者で、ノンフィクションライターの小野一光氏が振り返る。

 言葉巧みに緒方の実家に取り入った松永は、恐怖や苦痛、疑心暗鬼を利用して家族全員を隷従させる。そして、密室で身内同士が殺し合う陰惨な事件は、実に7人が死亡するまで表面化しなかった。

 松永と内縁関係にあった緒方は、

「肉親を殺めた加害者である一方、松永に洗脳された被害者でもあった」(同)

 1審の福岡地裁は松永と緒方、双方に死刑判決を言い渡した。しかし、控訴審では緒方のみ無期懲役に減刑され、2011年12月に最高裁で確定する。

 緒方と交流のあったジャーナリストの豊田正義氏は、

「その当時、彼女から届いた手紙には“ようやく松永から離れることができ、自分らしく生きる時を与えてもらったことへの感謝を抱いています”と綴られていました。これから服役するのに“自分らしく生きる”というのも変な話ですが、それほど松永の支配から自由になったことが嬉しかったのだと思います」

 そんな緒方がいまも手紙を送り続ける人物がいる。それは松永との間に儲けた息子(25)。彼自身、9歳で両親が逮捕されるまでは虐待生活の渦中にいた。その壮絶な人生が初めて明かされたのは、昨年放映の「ザ・ノンフィクション 人殺しの息子と呼ばれて…」(フジ系)でのことだ。

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