北方領土「4島返還」断念なら保守層反発、それでも安倍総理が“賭け”に出る事情

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「4から2」でも「1強」

 続けて政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏は、丁半博打の国内世論的「出目(でめ)」についてこう見通す。

「安倍総理を支持する保守層の半分は4島一括返還の期待が裏切られたと反発するでしょうが、残りの半分は『安倍総理だからこそ前進させられた』と受け入れ、大きな打撃にはならないのではないかと思います。保守層を納得させられるのは、保守の安倍総理だけですからね」

 政治アナリストの伊藤惇夫氏も、

「安倍支持層は、もはや政策や思想で動くとは思えない。それで動くなら事実上の移民受け入れにつながる入管法改正に大反対しているはずです。安倍総理を支持すること、それ自体が目的になっている人たちが、今回大きく反発するとは考えにくいですね」

「4」から「2」へと後退したように見え、先に言及した通りその「2」すら砂上の楼閣かもしれないのに、政権は安泰……。これぞ「1強」のなせる業なのだろうか。

 だが、政治ジャーナリストの山村明義氏は最悪のシナリオとして次のような事態を警告する。

「今回ロシアが日本に接近したのは、上手くいっていない対中、対米関係を日本に取り持ってほしいから。北方領土交渉の途中で両国との関係が好転すれば、日本は必要なくなり、2島返還すらうやむやにされる危険性があります。そうなってしまうと、これまでの総理の二の舞であり、安倍総理の評価は地に墜ちます」

 柔道有段者のプーチン氏の寝技によって、日本のトップが絞め落とされる――。悪い冗談だと信じたい。

週刊新潮 2018年11月29日号掲載

特集「2島か4島か!? 『プーチン』の寝技に誘い込まれた『安倍総理』」より

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