北方領土「4島返還」断念なら保守層反発、それでも安倍総理が“賭け”に出る事情
11月14日の日露首脳会談後こそ“加速”と報じられた北方領土交渉だったが、次第にトーンダウン。これまで日本は1993年の「東京宣言」に基づく「4島返還」を方針としてきたが、対するロシアは56年の「日ソ共同宣言」での「2島」を原点としてきた。そして今回、プーチン大統領と会談した安倍首相が明かしたのは、後者を基礎とし交渉を進めるという方針だった。「4島」を捨てたとも取れ、日本国内で賛否両論が起こっているのだ。
さらにロシア国内には、〈「島の主権はどちらのものになるかも(日ソ共同宣言に)書かれていない」と、プーチン大統領は強調した〉(15日付ロシースカヤガゼータ)と、2島を返還しても主権はロシアにあると訴える報道も。2島返還すら骨抜きになってしまう恐れもあるのだ。
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こうして日露両首脳、両国メディアの間に温度差を生じさせている北方4島。この「懸案の島々」は、そもそも今どのような状況にあるのだろうか。
「悪路の影響や飲酒運転が蔓延しているせいで交通事故が多い。人口1万人強の国後、色丹両島で、交通違反の摘発は毎年2千件を超えていると報道されています」
と、北方領土に足を運んだことがあり、同地の地元紙をチェックしている元時事通信モスクワ支局長で拓殖大学海外事情研究所の名越健郎教授が説明する。
「また、犯罪率は高くないものの、夏の季節労働者が事件を起こすことが多いようです。2012年時点で、国後と色丹では200人あまりの北朝鮮からの季節労働者も働いていました。彼らは黒っぽい服装で団体行動を取り、黙々と働くので、周囲から浮いているそうです」
この他にも、
「12年の択捉の死亡平均年齢は、男性が52歳で女性が57歳と、ロシアの平均寿命よりともに10年以上短い。医療サービスが充実していないせいでしょうが、09年時点では、国後の少女が足を骨折し、2年間治療しながら骨がくっつかなかったと報じられたこともあります」(同)
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