高学歴信者を心酔させた「オウム麻原」マインドコントロール術、4つのカギ

社会週刊新潮 2016年8月23日号別冊「輝ける20世紀」探訪掲載

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「麻原彰晃」はいかにして「超高学歴信者」を心服させたか(2)

 7月6日、オウム真理教の元代表・麻原彰晃、本名・松本智津夫死刑囚ら7人に、死刑が執行された。死刑が執行されたのは、松本死刑囚の他に、早川紀代秀死刑囚、井上嘉浩死刑囚、新実智光死刑囚、土谷正実死刑囚、中川智正死刑囚、遠藤誠一死刑囚だ。
オウム真理教の一連の事件では、27人が亡くなっている。中でも1995年に東京の地下鉄に神経ガス「サリン」をまき、13人の死亡者と数千人の負傷者を出した未曽有のテロ攻撃は、日本中を震撼させた。

 1989年の坂本堤弁護士一家殺害事件、1994年に長野県松本で住民7人が死亡した松本サリン事件、1995年の東京地下鉄サリン事件など、一連のオウム真理教事件で、松本死刑囚を含め13人の死刑が確定していた。

 今回刑が執行された死刑囚を始め、オウム真理教内でのヒエラルキーの上部を占めたのは超高学歴信者たちだった。教祖・麻原彰晃はいかにして彼らをマインドコントロールしていたのか。教祖・麻原彰晃はいかにして彼らをマインドコントロールしていたのか。その謎を解くカギは「アルタード・ステイツ・オブ・コンシャスネス」(ASC)。日本語では「変性意識体験」と訳され、人が幻覚などを見る状態を指すが、教団はこれを神秘体験と称していたのである。(以下、「週刊新潮」2016年8月23日号別冊より)

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 では、麻原はどのような術でそれを成し遂げていたのか。このマインドコントロールのプログラムを読み解くカギは4つあった。

「まず第一に、『感覚遮断』が挙げられます」

 と解説するのは、精神科医の片田珠美氏である。

「オウムは信者を狭い個室に閉じ込め、アイマスクと耳栓をつけさせ、瞑想させていたそうですが、人はそのような状態に置かれると一気に不安に陥ります。自分を守るために五感が鋭敏になる。幻覚が出現しやすくなり、同時に非常に暗示にかかりやすくなるのです」

 さらに続けて、

「第二の手法は、『飢餓』です。食事を制限されると、人間は血糖値が下がって、幻視や幻聴を体験しやすくなる。『オウム食』は低カロリーで、断食修行も推奨されていたとのことですから、彼らは慢性的に飢餓状態に追い込まれていた。このようなやり方は古今東西の伝統的な宗教でもよく見られる古典的な手法です。さらに第三の手法として、睡眠の制限が挙げられる。人間を強制的に眠らせないようにすると、意識が朦朧とし、混乱してくる。医学用語で『せん妄』と言い、認知症患者によく見られる症状です。突然、人が襲ってくるなどの幻視が見えやすくなる。意識が混濁していますから、暗示にもかかりやすくなる。その時に“お布施するぞ、お布施するぞ”などといった麻原の説法テープを聞かされれば、認知機能が低下している影響もあって、その内容を受け容れてしまうのです」

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