宿泊客を暴行、規約無視で3千万円裁判沙汰も… 新法施行で「民泊」は変わるのか

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3千万円超の損害賠償も

 こういった現状に鑑み、民泊経営対策として、分譲マンションの管理組合が管理規約を変更するケースが続く。ある江東区の分譲マンション管理組合は、昨年4月、定期総会で次の議案を可決した。

〈民泊及びシェアハウス禁止並びに反社会的勢力等排除規定新設の管理規約一部変更の件〉

 しかつめらしい言葉が並ぶ中で、民泊が反社会的勢力と同等に扱われていることから、事の重大さが伝わってくるというものだ。

 規約の変更後、民泊は禁止に。さらに、疑わしいとされた場合、理事長などが専有部に立ち入ることができ、それを拒否してはならない、という細則まで付け加えられたという。

 昨年8月には、大阪ミナミの分譲マンションの管理組合が部屋の所有者に訴えを起こしている。このマンションでは管理規約を改定し、民泊を禁じていた。しかしある所有者による民泊経営が続いており、申し入れを行うも改善されなかった。そこで、部屋の所有者と仲介業者らに対し、3267万円の損害賠償を求めて係争に至ったのだ。

(下)へつづく

吉松こころ(よしまつ・こころ)
暮らしジャーナリスト。1977年、鹿児島県伊佐市(旧大口市)生まれ。「株式会社全国賃貸住宅新聞社」取締役を経て独立。不動産業界のミニ通信社「株式会社Hello News」を立ち上げた。

週刊新潮 2018年6月21日号掲載

特別読物「1兆3千億円市場『民泊』に新法で『やめる人』『もぐる人』――吉松こころ(暮らしジャーナリスト)」より

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