尿から読み解く「大腸がん」の分子 AIが切り拓くがん治療の最先端

ライフ週刊新潮 2018年5月24日号掲載

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AIが切り拓く「がん治療」の最先端(1)

 人工知能の進化がとまらない。将棋や囲碁で棋士を打ち負かした如く、将来、数多の会社で我々の仕事を奪うに違いない。そう恐れるムキもあろうが、目下、人類最大の敵は疫病神の「がん」である。その治療の最先端で、強い味方になってくれるのが「AI」なのだ。

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 1981年以来、日本人の死因1位の座を守り続けているのが「がん」だ。今や2人に1人が罹患するといわれるが、我々は座して死を待つしかないのか。それに抗する人々の叡智が、AIと「がん治療」の最先端を切り拓こうとしている。

 最初にご紹介するのは大腸がん。国立研究開発法人国立がん研究センターがまとめた統計によれば、最新2016年の部位別がん死亡者数で、男女合わせて2番目に多い病だ。腸内にポリープができても、自覚症状が出るのには2年以上の潜伏期間があるとされる。気づいた時には手遅れということが多く、なによりも早期発見が重要なのだが、

「他のがんと比較しても、大腸がんは罹患数も死亡数と共に男女2位で、それらの数はずっと横ばいの状況なんです」

 とは、国立がん研究センター中央病院内視鏡科医員の山田真善氏だ。NECと研究チームを組んで、AIを使った独自の病変検知システムを編み出したが、その成果に触れる前に、従来の内視鏡検査の実態について知っておく必要があろう。

 改めて山田氏が解説する。

「内視鏡検査の段階で、ポリープを見つけて取っておけば、大腸がんの罹患率は76~90%抑制され、死亡率は53%下げられるというレポートが、アメリカのナショナルポリープスタディから報告されています。だから、検査をしっかり受ければいいのですが、それでも罹患してしまったという例が少なからずあります」

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