尿から読み解く「大腸がん」の分子 AIが切り拓くがん治療の最先端

ライフ週刊新潮 2018年5月24日号掲載

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世界初のがん検診

 大腸がんでいえば、今年はこんな福音がもたらされた。3月8日、慶應義塾大学先端生命科学研究所と東京医科大学の合同研究チームは、尿の中の代謝物をAIが解析することで、従来より高精度にがんを検出する方法を開発したと発表したのだ。

 そもそも、大腸がんの検査は、内視鏡やCT、MRI、超音波などを使うが、最終的な病理検査はメスや針で組織片を採取する。

「AIを活用したのは、痛みのない簡単な検査技術を考えたいという思いからです」

 とは、研究チームの東京医大教授・慶應大の杉本昌弘特任教授である。

「これまでの針を使う検査ではなく、尿や唾液から、がん患者特有の物質を検出できないかと研究を進めました」

 大腸がん患者には、特有の尿中代謝物が存在することは知られていたが、これのみを測定するだけでは、高精度な検査は難しい。そこで杉本氏らは、大腸がん患者、ポリープ患者、健常者計242人から尿を集め、測定装置などを駆使することで新たな発見に至ったという。

「尿から、大腸がん患者特有の複数の分子パターンを発見することができたのです。その分子のパターンをAIに覚えさせることで、高精度な検査ができるシステムを開発しました。1物質ではなく、複数の分子パターンで判断できるので、良性のポリープやがんを識別する検査が可能になる。何より、患者さんの心身の負担の軽減にも繋がります」

(2)へつづく

特集「0.02秒で超早期発見! 再発リスクも完全予測!! 『AI』が切り拓く『がん治療』の最先端」より

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