オウム「地下鉄サリン事件」死刑囚 再審請求は“生への執着ではない”

国内 社会 週刊新潮 2018年4月12日号掲載

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井上の弁護人は…

 そんな“成果”もあって、井上は一審で「無期懲役」の判決を勝ち取った。地下鉄サリン事件での役割は「後方支援・連絡役」と認定され、法廷で泣きじゃくった。

 しかし、そうした態度が反感を買ったのか、二審では他の幹部たちから次々と井上証言を否定する発言が出た。高裁も役割を「総合調整役」に格上げ。今度は逆転で死刑判決が下された。

 2009年、死刑確定。

 これを不服とする井上が最近も再審請求をしたことは先に述べた通りだ。

「巷間言われているように、井上君は生に執着しているワケではありません」

 と、説明するのは、井上の弁護人である。

「再審請求も、執行が近くなったからではない。5年程前から意向はあり、今年1月、オウム裁判が全て終わったので、本格的に準備を始めた。移送前日の3月13日にも接見し、200ページになる書類のチェックをしてもらった。そうしたら翌日には東京拘置所からいなくなっていたんです」

 再審では、地下鉄サリン事件での役割は「使い走り」に過ぎなかった点、また、仮谷さんの「死」に自身は関与していない点などを訴えるという。

「もちろん井上君もハードルが高いことはわかっています。死を恐れ、再審請求にすがりたいという感じは見受けられません」(同)

〈息白く 差し込む朝日 映し出す 冬のあぜ道 探した未来。〉

 昨年12月、井上の最新の歌である。彼は、次の冬を迎えることが出来るのだろうか。

(8)へつづく

短期集中連載「13階段に足をかけた『オウム死刑囚』13人の罪と罰」より

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