〈敗戦を機に霊長類宣言〉 公開延期「昭和天皇」ピンク映画、不敬描写の数々

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〈君、処刑だよね〉

 手元にこの映画の脚本がある。「朕、人妻と密会す」とのタイトルが付されたその脚本を見ると、覗きの場面の後、3人はこんな会話を交わしている。

〈タカ「飯はないよ。配給じゃ足りないんだ」/王「私のパンだけ白いのは困る。国民の配給のと同じにしてくれ」/タカ「だから、ないの」/王「戦災の国民を考えれば私は平気だ。10日間くらい風呂に入らなくても構わない」/タカ「風呂なんて最初からないよ。公園で浴びるんだよ」/王「あ、そう」/菊地「おっさん、誰?」/王「(とっさに)朕です」/タカ「朕さん悪いね、うちには何にもないけど、いい?」〉

 試写会でこの映画を見た関係者は、

「映画に登場する〈王〉はどこからどう見ても昭和天皇でした。だから、大丈夫?としか言いようがなかったですね」

 と話す。実際、脚本を見ると、映画は次のようなシーンで幕を開けている。

〈ものすごく大きなテーブルの端に王が座っている。反対側にサングラスをかけた外人がパイプをくわえて座っている。/外人「普通さ、君、処刑だよね、負けたんだから、でもさ、そうすると大変なことになるってみんな言うからさ、君、生きてていいよ。でさ、巡幸っていうの?あちこち地方回ってさ、頑張れとか言っちゃってくれる?〉

 そして、その〈巡幸〉のシーンはこんな具合。

〈国旗を振る人々。王、声をかける。/「どなたが亡くなったの」「御苦労されたのですね」「今年の収穫はどうなの」「大変だろうけれど、頑張って下さい」/いちいち丁寧に帽子を取る王〉

 不敬描写は、これ以外にも次々と……。

(下)へつづく

週刊新潮 2018年3月8日号掲載

特集「不敬描写で2月公開が突如延期! 『昭和天皇』のピンク映画」より

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