〈敗戦を機に霊長類宣言〉 公開延期「昭和天皇」ピンク映画、不敬描写の数々

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モデルは昭和天皇

 象徴、敗戦、“霊長類”宣言――。もうお分かりだろう。映画に登場する〈王〉の風貌も含めて、昭和天皇をモデルにしているのは明らかなのだ。昭和天皇が生物学研究者でもあったことは知られているが、映画に関する別の資料にはこうある。

〈ある夜、宿泊している旅館の庭に佇んでいたところ、珍しい蝶を見つけた。生物学者の王はすぐ長女の“虫愛ずる姫君”と言われた成子に伝えると、すぐに追いかけた方がいいと言われ、夢中になって蝶を追いかけ深い森の中へ来た〉

 昭和天皇と香淳皇后の第一皇女の成子さまもやはり、生物学に関心を持たれていたという事実は指摘しておかねばなるまい。資料の記述はこう続く。

〈王の失踪に大騒ぎになったのは王に仕える側近たちだった。しかし女王や成子は慌てず騒がずだった。ところが、王はまたも幻の蝶を追って見失い、別の地方都市のベンチで眠ってしまう。そこを雑誌記者のタカに見つけられる。王を変なおっさんと思いながら、放ってはおけず粗末な仕事部屋兼自宅へ連れて帰り寝かせた。タカは戦後次々創刊された大衆娯楽誌であるカストリ雑誌「欲情」「痴情」「饗宴」等に記事を売る記者と編集をしていた〉

 この〈タカ〉を演じているのが、ポスターに大写しになっていた人気AV女優の水野朝陽である。

〈王は深夜タカとカメラマンをしている夫菊地のセックスで目覚める。覗きで興奮した王は「つろうない」と挨拶し、夫婦も興奮するのだった〉

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