躍進サニブラウン、稼ぎでも目指す「ボルト超え」

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 誰が日本人として初の9秒台ランナーとなるのか。なかなかゴールシーンに至らないその“レース”が、いよいよ佳境を迎えている。桐生祥秀(21)、山縣亮太(25)、多田修平(21)、ケンブリッジ飛鳥(24)……。“馬群”を形成する多士済々の顔ぶれから、頭一つ抜け出たのが、ガーナ人と日本人のハーフ、サニブラウン・ハキーム(18)だ。“ゴール”の先には、ライバル達が嫉妬で歯噛みするような未来が待っている。

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 8月4日から13日までの10日間、イギリス・ロンドンで行われた世界陸上。日本選手権で短距離2冠を果たしたサニブラウンは、6万人の観客がスタジアムを埋め尽くす大舞台でもその実力を遺憾なく発揮した。男子100メートル予選でいきなり自己タイの10秒05を記録。準決勝ではスタート直後にバランスを崩して惜しくも敗退したが、200メートルでは決勝まで進出。結果は7位だったものの、世界陸上男子200メートルの史上最年少ファイナリストとなった。最年少記録をそれまで持っていたのは、あのウサイン・ボルトである。

 男子100メートルの元日本記録保持者で、「TEAM不破」代表理事の不破弘樹氏はこう話す。

「サニブラウン選手は元々下半身の動きが柔らかくしなやか。今年1月からは練習の拠点をオランダに移し、オランダ代表のコーチも務めるレイナ・レイダー氏に師事しています。そこで体幹トレーニングで上半身を強化し、全身のブレが少なくなりました。彼にとって9秒台を出すことは、世界のトップレベルに仲間入りする最低条件であり、本人も言っているように、通過点でしかないのでしょう」

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