ついに村上世彰が得た“特等席” 「黒田電気」に送り込んだ人物は

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狙いは業界再編

 村上氏が社外取締役候補として白羽の矢を立てたのは安延申(やすのべしん)氏(61)なる人物だが、一体何者なのか。経済産業省の中堅官僚の解説では、

「安延さんはうちのOBで、村上さんの上司だった人。現役時代はIT業界に精通し、“将来の事務次官”と謳われた切れ者でした」

 村上氏が不動産会社「昭栄」に敵対的買収を仕掛けた2000年、安延氏は旧通産省を退官。その後、IT関連会社3社の社長を歴任し、現在は一橋大学ビジネススクールで客員教授を務めている。村上氏を知るファンド関係者がいうには、

「株主総会直前、安延さんは“村上さんから、今年4月に社外取締役候補の打診があった”と明かしています。この時点で、村上さんは株主総会で“勝算あり”と判断していたのでしょう。彼は経営者になりたいわけではなく、根っからの投資家です。2年前は保有株式も少なく、とても村上さんの主張が通る環境ではなかった。社外取締役に自分の名前を入れたのは、パフォーマンスに過ぎません」

 やはり、カネ儲けが最大の関心事なのだ。だが、株主総会日の終値が2313円だった黒田電気株は、7月3日時点で127円も値を下げている。

「電子部品の専門商社は400社以上あり、その多くが売上高3000億円以下。村上さんは黒田電気を業界再編の中心に据えようと目論んでいる。同業他社を吸収すれば企業価値と伴に株価も上がるし、逆に、呑み込まれても高値で売れればいい。それで、上場企業のM&Aを手がけてきた安延さんを社外取締役に送り込んだわけです」(同)

 1600億円といわれる村上氏の個人資産。真の狙いは、長女への“王国”継承だという。

週刊新潮 2017年7月13日号掲載

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