日本郵政の「野村不動産」買収に飛ぶ怨嗟

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野村不動産のノウハウに期待

 日本郵政の長門正貢社長(68)が、驚きの一手に出た。豪州の物流会社「トールホールディングス」の経営悪化で約4000億円もの大損を公表したばかりだが、今度は野村証券グループの「野村不動産ホールディングス」を買収しようというのだ。果たして、この買収は反転攻勢の第一歩か、それともいつか来た道か。

 日本郵政の野村不動産HD買収が報じられたのは、5月12日のこと。全国紙の経済部デスクによれば、

「すでに、両者で買収額の最終調整段階に入っているようで、金額が折り合えば正式発表するはずです」

 野村不動産HDの2017年3月期連結決算を見ると、売上高は5696億円で、当期純利益が470億円。いずれも、前期比でほぼ横ばいと堅調に推移している。準大手証券会社の幹部の解説では、

「野村不動産HDの親会社『野村ホールディングス』は絶好調。17年3月期決算の最終利益は前期比82%増の2396億円で、11年ぶりの高水準を記録しました。ですが、“トランプ相場”による海外債券取引の儲けが大きく、今後もそれが続くとは限らない。そこで好調なうちに不動産事業を高値で売却し、本業強化にその資金を注ぎ込むのでしょう」

 一方の日本郵政は、

「マイナス金利の影響で傘下のゆうちょ銀行、かんぽ生命が苦戦し、新たな収益事業に見据えているのが不動産事業。基本的にはJRが成功させたビジネスモデルの猿真似です。4年前、初の商業ビル“KITTE”を東京駅に隣接してオープンさせ、昨年は福岡と名古屋に展開して成功している。日本郵政は“駅近”の超一等地を数多く抱えているので、こうした不動産を活用して収益力を高めていく腹積もりだと思います」(先の経済部デスク)

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