日本郵政の「野村不動産」買収に飛ぶ怨嗟

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■元は国有地

 確かに、日本郵政は新幹線の停車駅近くに多くの土地を所有しているが、

「野村不動産買収の狙いは、別にあります」

 こう指摘するのは、不動産業界に詳しいアイビー総研の関大介代表だ。

「超一等地に建設した商業ビルは、誰がやっても失敗することはほとんどない。日本郵政は、全国に約2万4000の郵便局や、遊休地など多数の不動産を抱えている。当然、そのなかには買い手が付き難い土地も少なくありません。野村不動産には、そうした土地の販売や開発のノウハウに期待しているのです」

 その代表が悪名高い“かんぽの宿”や日本郵便の社宅跡地だ。

「実は、野村不動産は日本郵政から業務委託されて、かんぽの宿の買い手を見つけてきた過去がある。また、“プラウド”ブランドで新築マンションを販売していますが、昨年千葉県市川市内の日本郵便社宅跡地に“プラウド市川”を開発、販売した実績もありますからね」(同)

 野村不動産は相場価格を無視してマンションを売ることもあり、不動産業界では“野武士”と呼ばれているという。社風の違いを指摘する声も少なくないものの、“門外漢”の日本郵政が、余計な口を出さなければ成功するというのが大方の見方だ。しかし、ライバル社からはこんな怨嗟の声が聞こえてくるのだ。不動産会社の幹部がいうには、

「日本郵政の不動産業進出は脅威です。マンションや商業ビルを建てる上で、一番大変なのが土地探し。彼らが所有する不動産の多くが、元は国有地。民営化でそれをタダ同然で手に入れた挙句、不動産会社を買収して開発するというのは民業圧迫ではないのか」

 買収後に経営悪化で、大損。野村不動産に限って、高値摑みなんてことはありませんよね、長門社長!

週刊新潮 2017年5月25日号掲載

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