「ほいくえん、こわい」泣く子どもvs遅刻できない母親……毎朝の修羅場を乗り切る方法は?

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 新年度がスタートし、そろそろ落ち着いてきたかという頃に「思ってもみないこと」は起きるものだ。

 都内に住む母親(36)はこの1週間、朝が来るのがゆううつだという。3歳の子どもを起こしに行くと、子どもは目をぱっちり開けてこう聞くからだ。

「ママ、きょうどこ行く?」

■とたんに始まる大泣き

 これが週末で、「公園に行こう」「動物園にお出かけだよ」と答えるなら子どもはニコニコ、上機嫌でベッドを降りてくる。

 だが平日、「今日は保育園だよ」と言うと、子どもはとたんに泣き出すのだ。

「ええー、いきたくないよう。ほいくえん、こわい!」

 こうなると、起こして食事をさせ、身支度をするまでにいつもの倍以上、時間と手間がかかってしまう。

 保育園で、なにかトラブルが起きているのではないか。

 そう心配した母親は子どもに聞いてみるが、まだ言葉が十分でなくてなんとも要領を得ない。園の先生に相談してみても、お友達とぶつかった、というほどの小さな「事件」しか思い当たらず、園での様子はいつも通りなのだという。

 わが子のSOSにも思える「いきたくない」にはとことん付き合ってやりたい、だが母親自身にも定時があり、遅れて出社するわけにはいかないのだ。

 なかば強引に園に預け、駅まで早足で歩きながら何度もため息が出てしまう。

 いったい、どうしたらいいのか――。

■子どもは母親の弱みを突いてくる

毎朝の修羅場を乗り切る方法は?

 名作絵本『ぐりとぐら』シリーズの著者で、17年間保母をしていた中川李枝子さん(80)は著書『子どもはみんな問題児。』で、子どもの心を読み解きながら母親にエールを送っている。(以下、「」内は同書より引用)

「『行きたくないの? そう、だったら今日はお休みにしましょうね』と言って子どもと一日一緒にいられたらさぞ気楽でしょうが、そう簡単にはいきません」

「子どもはそんな弱みをぐっと突いてきます。

 保育園に行きたくないと言う理由は、ただちょっとごねたいだけかもしれないし、お母さんに甘えてみたいのかもしれない。

 子どもにはいろんな面がありますから、『保育園で問題が起きているから行きたがらないのだ』と勝手に決めつけてはいけません。

 問題があるとしても、それはその子にとって越えなければいけない問題かもしれない。子どもは日々成長しているのです」

■とっておきの「方法」を伝授

「そんな時おすすめなのは『あらそうなの、行きたくないのね』とか『じゃあ先生に、今日は保育園お休みしますって言いに行きましょう』などと話をしながら、とにかく保育園に向かうことです。

 子どもがあの手この手で来れば、こっちもあの手この手です。

 子どもには負けていられない、だから子育てはスリル満点、面白いのです。

 子どもにはけっこうチャッカリしたところもあります。でもそんなワル賢さもなければ、これから生きていくうえで困るでしょう。何もかも悪びれず丸出しなのが子どものいいところです」

 中川さんは、わが子を預けることに罪悪感を感じる母親たちの背中をこう押している。

「保育園や幼稚園の魅力は家庭では味わえない、もっと大がかりな遊びの場があること、そして知恵も体力も対等な同年齢の仲間がいることだと思います。

 特に今のような少子化社会になると近所に遊び友達はいないし、お家にもきょうだいがいないかもしれない。保育園、幼稚園は子どもの生活のために必要な場になっていると思います。

 以前、ある小児科医の先生がこうおっしゃいました。

『子ども時代に存分に遊ぶ楽しさを味わった人は、老年期になっても生き生きと生活していますよ』

 若かった私は、『へえ、そんなものか』と思いましたが、この年になると本当にその通りだと感じます」

デイリー新潮編集部

2016年4月22日掲載

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