支持率を持ち直した「D・トランプ」に共和党の禁じ手

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 ボーゲンオーが飛ばしている。戦隊モノのヒーローが乗り込む巨大ロボの名ではない。スキーの滑降技術の王でもない。メキシコ人をレイプ犯呼ばわりし、対立候補をバカと罵るなど、傍若無人な言動を繰り返す大富豪、“暴言王”のドナルド・トランプ氏(69)だ。

「カリフォルニア州の銃乱射テロ事件を受けて、7日、イスラム教徒を全面入国禁止にすべきと発言し、大バッシングです」(国際部記者)

 米大統領選の共和党指名候補トップを走るとあって、ホワイトハウスは同氏の発言は憲法違反だと指摘。大統領報道官は「大統領の資格なし」と痛烈に批判した。

「信教の自由を侵す発言には共和党の大物たちや、英、仏、イスラエルなど各国首脳も一斉に批難。『ハリー・ポッター』シリーズの著者J・K・ローリング氏は“ヴォルデモートも及ばない悪だ”とツイート、世界中に拡散しました」(同)

 大炎上となったわけだが、その後の世論調査はといえば、共和党有権者のトランプ氏支持率はトップのまま、大幅なリードを保ち続けた。

「こうなると強いですね」

 外交ジャーナリストの手嶋龍一氏は言う。

「米大統領選の分析の際、リバウンド率という数字に注目すると興味深いことがわかります。いったん下降した候補者の支持率が急激に上昇に転じた場合、かなり手強い候補となるというのが過去の例なのです」

 トランプ氏の支持率は9月半ばにいったん下降し、その後急上昇している。

「明らかに、パリの同時多発テロ事件が追い風になっています。重ねて、カリフォルニアでのテロ。国内のテロへの不安が如実に表れていると見るべきです」(同)

 だが、トランプ氏が大統領候補となれば、支持層の広いヒラリー・クリントン氏の民主党圧勝もありうる。

「共和党には、憲法違反をタテにしてトランプ氏を降ろす禁じ手もなくはないでしょうが、難しい。トランプ氏には無所属出馬という最終手段もあります」(同)

 トランプのボーゲンを抑えたら、共和党は奈落の底へチョッカッコーか。

週刊新潮 2015年12月24日号掲載

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