受験の課題は「今晩のおかずを描きなさい」…OBアーティストが明かす“東京藝大”天才たちの日常 「“マイケル・ジャクソンしか描きたくない!”という人もいましたね(笑)」
美術学部や音楽学部などを擁し、“芸術界の東大”と呼ばれることもある東京藝術大学(以下、藝大)。しかし、その実態はヴェールに包まれている。そもそも、美術系の大学を受けるにはどんな受験勉強をすればいいのか、どんな受験科目があるのかなど、一般的な総合大学などと比べると知られていないことが多い。
今回、藝大の卒業生であり、デフォルメされた二次元キャラクターをテーマにした作品で知られる気鋭のアーティスト・中風森滋氏(美術学部絵画科油画専攻)にインタビュー。藝大入学を志した理由、インパクトのある大学の様子、変人が本当に多いのか……などなど、謎多き藝大について話を聞いた。【取材・文=山内貴範】(全2回のうちの第1回)
【写真】デフォルメされた二次元キャラクターをテーマにした中風さんの作品
県立高校の普通科から藝大受験へ
――中風さんがアーティストを目指したのはいつ頃なのでしょうか。
中風:高校2年生の頃、カオス*ラウンジというアート集団をネットニュースで知ったことがきっかけです。彼らの作風を見て、「アートってなんだろう?」と思いました。そして、自分が理解できないものを理解してみたいと思い、将来は美大で美術を学んでみようかなと考えるようになりました。
――カオス*ラウンジといえば、2010年前後にたびたびネットで議論になっていましたし、最近も何かと騒動になっていますね。そうしたアート業界のニュースに関心を持つくらいですから、当時、中風さんは美術系の高校に在籍していたのですか。
中風:いえ、そうではなく、千葉県立船橋西高校(現在の船橋啓明高校)の普通科で、自分自身もニコニコ動画や漫画が好きな普通の高校生でした。まったく芸術関係の専門的な授業がないなかで美大を目指すことになったので、高校2年の秋くらいに、ふなばし美術学院という予備校に入りました。
そこで日本画や粘土などいろいろなものに触れたのですが、美大受験には何か一つの分野を選択して、専門の学科に進む必要があると言われたのです。そこで、いちばん自由で性に合ったので油絵を選びました。本格的に油絵に取り組み始めたのは高校3年になったばかりの、4月でした。その過程で、藝大を志望するようになったのです。
――それまでは藝大のことは知っていましたか。
中風:いえ、ぜんぜんです。絵を描くのは幼いころから好きでしたが、中学では陸上部、高校で美術部と漫画研究会。俺はずっと漫画家を志望していたので、絵について関心はあったのですが、藝大の名前は本当に知らなかったんですよ。
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