秋ドラマ「ベスト10」 圧勝「VIVANT」 良作そろった「箱根駅伝」「LOST10」「いろはの恋」「ポリティカルパン」

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上白石萌音の突出した演技力

「いろはの恋は時代をかける」はタイムスリップ劇だが、単純な話ではない。江戸時代の町娘の魂が、現代の小学校教師に入り込んでしまう。うまい設定だ。町娘が現代の学校を批判する、教育風刺劇に仕上がっている。

 町娘・いろはと、小学校教師・梨木彩葉の二役を演じているのは上白石萌音(28)。彼女の突出した演技力によって成立しているドラマともいえる。

 脚本を書いているのは長田育恵氏(49)。劇作家・小説家の井上ひさしさんに師事した人物だ。力のある脚本家だけに、中だるみの心配はないだろう。

(8)フジテレビ「波うららかに、めおと日和」(木曜午後10時)2.9%、15日放送の第1回
(9)同「ポリティカルパン」(水曜午後10時)2.7%、14日放送の第2回
(10)テレビ朝日「あにいもうと」(土曜午後10時)2.3%、17日放送の第1回

「波うららかに、めおと日和」は約1年半ぶりの続編。前作では、戦前の夫婦である江端なつ美(芳根京子)と瀧昌(本田響矢)の純情な姿が視聴者の胸を熱くした。ときめきは再び生まれるだろうか。

「ポリティカルパン」は政治風刺劇。社会派作品もコミカルな作品も得意な野木亜紀子氏(52)が脚本を書いている。期待を裏切らない内容だ。

 シリアスな政治ドラマ以上に攻めている。与野党が裏でつながっていたり、与党がライバルを蹴落とすためにSNSを使っていたり。綺麗事は排除されている。

 女ルパンこと如月弥生(石原さとみ)は、官房機密費を盗む手引きをさせるため、元総理の娘である小早川雅(河合優実)を衆院議員にした。ところが、雅は真面目に政治活動を始めた。おそらく弥生も変わっていくのだろう。弥生が盗むのは腐った政界全体だ。

「あにいもうと」のドラマ枠は、火曜午後9時から土曜午後10時に移った。

 内科医・春木奈緒(榮倉奈々)の兄・亮介(木村達成)はトラブルメーカーだ。奈緒は兄のせいで苦労してきた。対照的なのが園田修司(赤楚衛二)である。奈緒が担当する絵里(宮崎優)の兄で、妹の治療費をつくるため、死に物狂いで働いていた。

 絵里を救いたいという強い思いは、奈緒も同じ。2人は惹かれ合う。だが、やがて2人は破局する。それだけでなく、重大な疑惑も浮上する。

 秋ドラマの個人視聴率は全体的に高い。いつもより面白い作品がそろっている。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年にスポーツニッポン新聞社に入社。放送担当記者・専門委員として、1994年のNHK連続テレビ小説「春よ、来い」のヒロイン途中交代や、1999年のフジテレビ「愛する二人別れる二人」のやらせ問題などを特報する。2015年に毎日新聞出版へ入社し、サンデー毎日編集次長を務める。編集者としては「小池百合子都知事の真実」などを担当した。2019年に独立。元・放送批評懇談会出版編集委員。

デイリー新潮編集部

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