「末っ子はやっぱりできそこないなのかしら」中学受験を拒んだ息子への妻の態度がヒドすぎる…合格した娘を抱きしめ「才能がある」 50歳夫が抱いた不信感

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「できそこないなのかしら」

 長男は中学受験に失敗した。2歳違いの娘が合格したとき、彼女は兄をバカにするような態度をとった。それを武龍さんが見咎めて叱ると、沙梨さんは「娘が合格したのは彼女が努力したからよ」と言い張った。

「それはそうだ、だが自分が合格したからといって兄の努力が足りなかった、兄には能力がないと決めつけるのは人としてどうかと思うと言ったんです。子どもたちの前でそれ以上、言い争いはしたくなかった。長男が傷つくだけですから。とにかくこの件はあとでと言うと、沙梨は子どものようにふくれて、娘を『あなたはよくやったの。あなたには才能があるの』と抱きしめた。長男は一瞥して自室へと引きあげていった。気になりましたが、あからさまに慰めるのも長男をさらに追い込むから、様子を見ることにしました」

 末っ子の次男は中学受験を拒否した。夜、夫婦でリビングでその話をしていると、沙梨さんは「末っ子はやっぱりできそこないなのかしら」と言った。武龍さんが「きみはどうしてそういうことを言うんだ。自分の子じゃないか」というと「あなたの子でもあるけど」と鼻で笑った。子どもにもプライドがある。沙梨さんはそれをわかっていなかった。子どものプライドをつぶしても「自分が自慢できる子」を作ろうとしていた。

学校辞めたいという息子にも「やめたければやめれば」

「娘が中学に合格した翌年、長男が高校に入学したんです。それもまた希望通りではなかった。彼はどこか人生をあきらめたような雰囲気が出てきたので僕は焦りました。さらに高校1年で留年して、学校を辞めると言い出した。沙梨はほとんど話も聞かず、『やめたければやめれば』と言っていました。僕は彼を2泊3日の旅に連れ出しました。車でずっとふたりきり。最初は何も話さなかった長男が、ぽつりぽつりと自分の気持ちを話し始めた。やはり中学受験に失敗したとき、妹が受かったときの母親の態度には相当傷ついていたようです。僕は特に沙梨をかばったり逆に悪口を言ったりもしなかった。ああいう人はどこの世界にもいる。悪気はないけど困った言動をとる。それをどう受け取るかが今後の人生でも大事だと思うよと伝えました。ふたりで釣りをしたり海で泳いだりマリンスポーツにチャレンジしたりしました。僕、釣りも水泳も得意なので、長男は『オヤジ、やるな』と思ったと後で言ってましたね」

 帰宅間際、長男は「もうちょっと学校にいるわ」とだけ言ってニヤッと笑った。この子は大丈夫だと彼は感じたという。娘は妻に取り込まれている状態だったが、破綻があったら手を差し伸べる、次男は我が道を行くタイプのようだからやはり何かあったらでいいだろうと彼は子どもたちに対する立ち位置を決めた。

 家庭を作り、いい関係を維持していくむずかしさをつくづく感じた。のんびりした雰囲気を作り上げていた両親は、実は偉大な人たちなのではないかと思ったそうだ。

 そんな彼が恋に落ちた。

 ***

【記事後編】では、武龍さんが恋に落ちた若い女性との出会いから、子どもたちとの関係が一変するまでを紹介する。さらに、家を出た彼を待っていた思いがけない事態とは――。

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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