70歳にして脇役もコメディもこなす「役所広司」の凄み…ネトフリ新作も話題「国民的名優」が第一線を走り続けられる理由
映画俳優のイメージが強い役所広司
役所は地元、長崎の工業高校を卒業後に上京し、東京・千代田区役所土木工事課に勤務後に俳優に転身。その経歴から「役所」という芸名を、師匠の故・仲代達也さんから付けられたことはよく知られている。7年連続で「日本アカデミー賞」の優秀主演男優賞を受賞するなど日本を代表する映画俳優の1人となり、その後、現在まで第一線で活躍中だ。
「役所さんといえば、すっかり映画俳優のイメージですが、テレビではNHK大河ドラマ『おんな太閤記』(81年)、『花の乱』(94年)、テレビ朝日系『三匹が斬る!』シリーズのように時代劇が多かった」(テレビ局関係者)
そんな役所が、17年放送のTBS系日曜劇場「陸王」で主演を務めた。池井戸潤さんの原作小説をドラマ化した同作では、ランニングシューズ業界に参入し奮闘する、老舗足袋製造会社「こはぜ屋」4代目社長を演じ、平均世帯視聴率は全10話で16.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。そして現在、第2シーズンが放送中の「VIVANT」の第1シーズン(23年)でテロ組織・テントのリーダー、ノゴーン・ベキを演じたのは記憶に新しいところ。
「『陸王』も『VIVANT』も、演出・プロデュースを手がけたのは、パワハラが報じられた福澤克雄氏(62)。若い役者は苦手な人も多いようですが、役所さんは絶大な信頼を置いています」(TBS関係者)
この10年、役所が地上派の連ドラに出演したのは『陸王』、『VIVANT』、そして、柔道の創始者・嘉納治五郎役を演じた大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』(19年、脚本は宮藤官九郎)のみ。今後はTBSかNHKでないと、役所の名演を“無料”で見ることができなくなりそうな気配である。
「映画は主演・助演にかかわらず、ほぼ毎年のように作品をこなし、公開中の『時には懺悔を』、16日公開の『わたしの知らない子どもたち』はいずれも脇役です。自身の主演作『すばらしき世界』(21年)のメガホンを取った西川美和監督(52)との対談で役所さんは、映画界の発展のため、映画界の先行投資や若手を育てる土壌、博打的でも企画を通すプロデューサーの決断が必要なことを力説。そのうえで、『「この監督に、この役者にやらせたい!」という強い思いを持った人の企画なら、自分もチャレンジしたくなる』と発言。映画はギャラではなく、やりたい企画で決めているのでしょう」(映画担当記者)
演技がプレミア化
ネトフリでは2011年に起きた福島第一原子力発電所事故を政府、電力会社、原発所内の3つの視点から描いたフィクション作品『THE DAYS』(23年)に出演。福島第一原発の吉田所長をモデルにした主人公を演じた。今作は主演2作目となるが、クドカンとのコンビは「いだてん」以来となる。
クドカンは8月に自身の連載(週刊文春)で役所と対談、「役所さんがコメディやりたいって言ってる!」と聞いて、「俺のこと~」のオファーにつながった経緯を明かし、役所は演じた役について、「俳優のキャラクターの引き出しだけは山ほど持ってますから」と語っている。
「映画は劇場に足を運び、チケットを購入しないといけません。ネトフリは加入して月額料金を支払う必要があります。それに対して、NHKは受信料がかかりますが、テレビは無料。つまり、役所さんの演技を“ただで見る”ことができる機会が減ってしまっているのです。役所さんに見合ったギャラ、出演を受けたくなるような脚本、役所さんがドラマで多くこなしていた時代劇の本数激減など、地上波テレビの衰退により、その名演がいつの間にか“プレミア化”した結果です。そんな役所さんの背中を見て、今後は“テレビ離れ”する俳優が増えるかもしれません」(同)
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