トランプ氏、選挙前「現金バラマキ」があからさますぎる…2000万人に1.4万円、100万人に7.9万円 米経済には百害あって一利なしか
バラマキは民意を変えるどころか「有害」
民主党を始め各方面から、有権者への賄賂などの批判が出るのは間違いないが、トランプ氏がこれにひるむことはないだろう。
トランプ氏は人工知能(AI)産業を擁護するためにもバラマキ攻勢を仕掛ける構えだ。9月29日には、AIデータセンターが建設される地域の教師にボーナス、住民に配当をそれぞれ支給する案を示した。詳細は明らかにしなかったが、国民の間で広がるデータセンター嫌いの風潮を弱めることが目的だ。
ギャラップが5月に発表した世論調査で、米国民の10人中7人が居住地域でのデータセンター建設に反対したように、AI向けインフラは今や「迷惑施設」の最たるものだ。
AIを成長の柱にしたいトランプ氏だが、バラマキで民意が変わるとは思えない。むしろバラマキは米国経済に有害だと、筆者は考えている。
米長期金利は10月1日に一時5.34%台と、2002年4月以来の高値となった。原油高やインフレ警戒などに加え、前述したデータセンター建設のための社債の大量発行により、米国債市場に流れる資金が減っていることや、トランプ氏が財政規律を後退させるのではとの懸念が広がっていることも要因の1つだ。
このような状況下でトランプ氏がバラマキ攻勢を仕掛ければ、米国債の信任がさらに薄れ、長期金利の上昇が続く可能性は十分にある。
長期金利が引き起こす住宅市場の不調
長期金利の上昇が消費者心理を冷え込ませているようにもみえる。
米民間調査機関コンファレンスボードが発表した9月の米消費者信頼感指数は、2014年4月以来、12年5カ月ぶりの低水準を記録した。長期金利の上昇に伴う借り入れコストの上昇が嫌気され、堅調さを維持してきた個人消費に陰りが生じているのだ。
個人消費に加え、住宅市場も軟調になる可能性が高い。長期金利に連動して住宅ローン金利が上昇しているからだ。
10月1日に発表された30年固定住宅ローン金利は平均7.28%と、約3年ぶりの高水準に達した。ローン金利が上昇すれば買い手が減り、住宅市場は不調となるのが常だ。
全米不動産協会が発表した8月の中古住宅販売件数は398万戸(季節調整済み、年率換算)と、前月比2%減少した。米国では中古住宅が販売全体の8割超を占める。裾野が広い住宅市場がスランプになれば、米国経済にとって大きな打撃だ。
このように、バラマキ攻勢のせいで米国経済が失速するリスクがある。そうなれば、自業自得とはいえ、トランプ氏のレームダック化は必至だろう。同盟国である米国の動向は日本の行く末を大きく左右する。引き続き高い関心を持って注視すべきだ。
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