日本以上に「セブンイレブンだらけの国」 存在感では世界一? こんなにあって意味はあるのか、何を「売る」のか

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タイは「人」で便利にする。日本は同じ方法ではできない

 今回、筆者が実際に中に入ったタイのセブンは約30店舗だと思うが、店員の多さも印象的だった。1店舗当たり3~6人ほどいたのではないだろうか。当初、店員があまりに頻繁に店内を歩いているため「万引き対策なの?」とも考えたが、そうではない。彼らはレジ業務だけではなく、店内を回って商品を補充し、前出しをし、清掃する。食品を温め、ホットサンドを焼き、飲料をつくる。そしてオンライン注文やデリバリーにも対応する。何店舗か観察していると、タイのセブンは、人を使うことで「便利」を増やしていることが分かった。これはすでに人手不足が大きな経営課題になっている日本のコンビニにしてみれば、うらやましさすら覚える。

タイのセブンが「人」で実現した便利を、日本は「テクノロジー+人」で

 もっとも、9年ぶりのタイで見たセブンは、日本より何もかも進んでいるわけではない。弁当やおにぎり、サンドイッチ、スイーツは、日本のコンビニの方が圧倒的においしく、クオリティも高い。店員は多いものの、店舗によっては手持ち無沙汰に見える従業員も正直いた。人によっては、「セブンばかりでつまらない」という選択肢の少なさを感じることもあるだろう。

 それでも、圧倒的な存在感を生かして店舗網を築き、食品を温め、ホットサンドを焼き、飲料をつくり、スマートフォンから注文された商品を自宅まで届ける。同時に屋台や市場とも共存する姿には、日本が学べることが多かった。

 特にバンコクで感じたのは、「店舗数が多い」ことの意味が変わり始めていることだ。店舗数が多ければ、来店客を増やせるだけではない。街中に無数の物流拠点を持つこともできる。

 この発想は、日本にもそのまま当てはまる。

 全国に張り巡らされたコンビニ網は、人口減少によって価値が下がるとは限らない。むしろ使い方を変えれば、人口減少社会を支える巨大な生活インフラ網になり得る。タイのセブンは、多くの人手を使って「便利」を増やしてきた。働き手が減る日本は、同じ方法では進めない。だからこそセルフレジやAI、ロボット、自動化を活用し、人にしかできない仕事へ人手を振り向ける。そして「お客様に店まで来てもらう小売業」から、「店舗から地域へ商品とサービスを届ける生活インフラ産業」へと、コンビニそのものを進化させる。

 タイのセブンが「人」で実現した便利さを、日本は「テクノロジー+人」で実現する。バンコクとパタヤを歩きながら見えてきたのは、そんな日本のコンビニの未来だった。

渡辺広明(わたなべ・ひろあき)
流通アナリスト。コンビニジャーナリスト。1967年静岡県浜松市生まれ。株式会社ローソンに22年間勤務し、店長、スーパーバイザー、バイヤーなどを経験。現在は商品開発・営業・マーケティング・顧問・コンサル業務など幅広く活動中。フジテレビ『FNN Live News α』レギュラーコメンテーター、TOKYO FM『馬渕・渡辺の#ビジトピ』パーソナリティ。近著に『ニッポン経済の問題を消費者目線で考えてみた』(馬渕磨理子氏と共著、フォレスト出版)がある。

デイリー新潮編集部

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