日本以上に「セブンイレブンだらけの国」 存在感では世界一? こんなにあって意味はあるのか、何を「売る」のか

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セブンの駐車場に屋台。「潰す」のではなく共存する

 今回はバンコクだけでなく、配車アプリのGrabで約2時間、片道約9000円で行けるビーチリゾート・パタヤも歩いたのだが、そこでタイの屋台文化を象徴するような面白い光景を見た。セブンの駐車場に、屋台やキッチンカーが堂々と出店しているのだ。これだけセブンが増えれば昔ながらの屋台や露店が駆逐されているのでは……と思っていたのだが、実際には共存していたようだ。

 地元の人たちに取材すると、共存の理由が見えてきた。「セブンは近くて便利」「食べ物の種類が多い」「レストランは料理が出てくるまで待つが、セブンならすぐ買える」という声が聞かれ、中には「日常の買い物の8割くらいをセブンで済ませる」という女性もいた。一方で「野菜はセブンだと高く、量も少ないので露店がいい」という意見もあった。屋台を選ぶときは衛生状態を気にするという人もいて、安心感を求めてセブンを利用することもあるそうだ。

 簡単に言うと、野菜を買いたいときや、安さを求めるなら市場や屋台。ホットサンドもあるとはいえ、できたてを食べたいときもやっぱり屋台。一方で、清潔さ、安心感、品揃え、24時間の便利さならセブン……という使い分けがされていそうだ。

バンコクのセブンは「小売業」から「ラストワンマイル物流業」へ

 話をバンコクのセブンに戻すと、店舗が「巨大な物流ネットワーク」の一部として活用されている点も興味深かった。

 タイのセブンは「7Delivery」というサービスを行っている。スマートフォンから注文すると、弁当、飲料、日用品などを近くの店舗の在庫から短時間で自宅やオフィスへ届けてくれるものだ。こうした「注文から短時間で商品を届けるサービス」をクイックコマースと呼ぶが、街中に大量に存在するセブンそのものを、小さな配送拠点として利用するのである。

 日本にも同様の「7NOW」というサービスはあるが、タイのほうが消費者の生活により根差している。ほかに店頭にない商品も注文できる「ALL ONLINE」も展開しているが、「7Delivery」などをふくめたオンライン経由の売上が、2025年でセブンの商品売上の約11%を占めているという。

 クイックコマースが進む背景には、高層コンドミニアムやオフィスが密集するバンコクの都市事情や、暑くて雨が多い気候がありそうだ。また、渋滞が激しいため移動も簡単ではなく、歩道も必ずしも歩きやすいわけではない。こうした事情からか、タイの人びとは「あまり歩きたがらない」とも聞く。数百メートル先にセブンがあったとしても、「わざわざ買いに行くより、届けてもらおう」という需要が生まれているのだろう。

 そう考えると、タイのセブンは、もはや単なるコンビニではなく「小売店舗網」であると同時に「ラストワンマイルの物流拠点網」と言っても過言ではないのではないか。日本ではコンビニの客数を考える時、どうしても「どうすれば店に来てもらえるか」を考えるが、今後の人口減少を考えると、商圏人口そのものが減る地域も増える。だったら発想を逆にしてもいい。「お客様に来てもらう」のではなく、「コンビニからお客様のところへ行く」。人口が減少する日本だからこそ、コンビニは「来店客数を競う産業」から一部では脱却してもいいのではないか……とタイのセブンを見て思った。

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