「はだかでベランダ」「部屋の中でもダウン」…1万件の相談を受けたプロが明かす、“片づけられない女性”の驚くべき日常
片づけられないのは「だらしない人」ではない
西崎さんは、片づけられない女性たちを一度も責めたことがないという。
「ある日突然、仕事での昇進や社会復帰、お母さんとしての役割、そこに急な介護まで重なって、やるべき役割がわっと増える。それで片づけられなくなる人って本当に多いんです」
その裏には「なぜ家事や子育ての負担が女性だけに偏るのか」という構造的な不条理がある。加えて「家事も育児もきちんとこなしてこそ、立派な女性だ」という日本特有の同調圧力、「女一人じゃうまくいかない」という呪いのような刷り込みが、女性たちを追い詰めていく。
「私がそういう立場を通ってきたから、痛いほど分かるんです。『できない自分』を認められず、必死に隠そうとして、誰かに頼ることすら躊躇してしまう。この悪循環をまず変えたくて、そもそもの思い込みを変えることのお手伝いをしています」
そもそも西崎さんが教えているのは、「収納ボックスの使い方」や「100円ショップの便利グッズ」ではない。「そういう小さなことから解放するのが私の仕事です」と語る。
家族で違う「片づいた」の完成形
西崎さんの片づけ相談では、実用本や世間が語る「うわべの正解」を追い求めることはやめるべき、とまず教えている。具体的な片づけのレクチャーは後編記事に続くが、相談で多く聞かれる質問は……。
「多いのが『靴は何足まで、スーツは何着まで持っていいですか』といった質問です。でも洗濯の頻度も家族構成も、暮らし方も好みも、一人ひとり違うから『正解の数』なんてないし、人に聞いてもわかりっこない。“家族の最善解を探す”ところからカウンセリングを進めています」
例えば家族間でさえ「片づける」という言葉の定義は大きくずれる。夫に「テーブルの上を片づけて」と頼んだら、パソコンを数センチだけ動かして「片づけたよ」と言われた――そんなすれ違いも珍しくない。
「『片づける』って、ものすごく解像度の低い言葉なんです。理想のゴールが曖昧なまま『片づけて』と言い合っても、絶対に噛み合わない。まずは家族の中で、何が完成形かをすり合わせるところから始めるべき。今の自分たち家族にとっての最善解は、自分たちにしか分からない。世間体じゃなく、自分の頭で考えて、自分たちでルールを決める。それこそが人生を整える本質だと思っています」
後編記事《自宅で倒れた50代バツイチ医師 友人が港区マンションに駆け付けると…“ゴミ屋敷”だった 片づけのプロが警告する「妻任せ」の代償》では、片づけを通して「決断を先送りしない力」を身につける方法や、苦手な家事を賢く手放す考え方について、西崎さんに聞く。
※事例は本人が特定されないよう、複数のケースをもとに再構成し、職業や家族構成などを変更しています。
※掲載写真は西崎さんが過去に手がけた実際の片づけ事例です。本文で紹介したエピソードの当事者とは異なります。掲載は提供者の了承を得ています





