“高倉健さんと共演”した甲子園のレジェンド「板東英二さん」…「生前葬」で明かしていた大物芸人の金言「色々あったけど、前を向いて歩こう」

  • ブックマーク

仲間と場末の飲み屋で……

 そして、同じまえがきで、座右の銘ともいえる母親の言葉を残している。

〈母親は(満州からの)引き揚げで、子供の時に文房具を買ってやれなかったとか、大学に行きたがったのに行かせてやれなかったとか、ひもじい思いをさせたことを最後まで気にしていた。その母親が書いた言葉が3つあります。「人様には迷惑をかけるな、自分で食べるものは自分で稼ぎなさい、人様の物を盗って食べるな、かあちゃんが悲しいから」って。子供の頃は食べるものが本当になくて、僕ら、引揚者の子供達は拾ったり盗んだりして食っていたのを知っていたから、書き置いたのでしょう。感謝しています〉

 本のタイトルはなかなか決まらなかった。そんな時、吉本の担当者がポツリと呟いた。「そういえば、名プロデューサーの水の江滝子が亡くなる前に生前葬をやったけど」。そして板東さんが「ここで一度区切りにして言いたいことを言い残すという意味で、生前葬をやるのもいいかもしれない」と言い、『板東英二の生前葬』になった。

 騒動後、「生前葬」もやって最後は何をやるか。板東さんいわく「仲間と場末の飲み屋で一杯飲み屋をやる」。先に芸能界を引退した紳助と今後のことを話すことがあったそうだ。紳助はこう言って慰めてくれた。

〈色々あったけど人間、前を向いて歩こう。ちゃんと頑張っていこうよ。人生何とかなる。周りに迷惑かけたことはあるけど、幸いなことに、こうやって三度のメシが食えるんだから〉

「アイツ、そういうことを言うんです」と板東さん。

 誰も恨みっこなし。板東さんはいい人生を送ったのではないか。

峯田淳/コラムニスト

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 3 次へ

[3/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。