【ロッキード事件から50年】秘密代理人にして超大物右翼「児玉誉士夫」を知る“愛人”が告白していた「別にたいした話もないけれど、それでもいい?」

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すでに転居していた、その引っ越し先は……

「現地に着いたのが、夕方4時すぎくらいでした。ところが、メモの地番はたしかに実在するんですが、ご本人の表札はないんですよ。このあたりは、建物の様子がすっかり変わっているようでした。一軒だけ、むかしから住んでいる家が見つかったので聞いてみたら、その女性はとっくに転居しているとのことでした」

 幸い、その家は以前に女性から来た年賀状を保存していた。事情を話すと見せてくれたのだが……。

「引っ越し先は、東京・八王子でした。ふたたび104で確認してみましたが、電話帳登録は、ないようでした」

 A記者は松田デスクに電話し、指示をあおぐと「じゃ、すぐ八王子へまわって、話を聞いてきてくれ」と、またも軽くいわれた。A記者を乗せたタクシーは、栃木県小山市から八王子へ、大回りで向かう。A記者は「もう、どうにでもなれという気分でした」。

 八王子に着いたころは、もう暗くなっていた。市内でもかなりはずれのようだ。いまのGoogle Mapのような便利なツールがある時代ではない。薄暗い住宅街で、目当ての家をたずねあてたのは、夜8時近かった。たしかに目指す相手の名が表札にあった。

「古い、小さな一軒家でした。裏手の勝手口のほうに灯りがついていたので、そちらから入っていきました」

 戸を開けると台所で、短めの髪を茶色く染めた、スラリと背の高い年輩女性が立っていた。Sさん、65歳。元宝塚歌劇団といっても通じるような、しゃれた女性だった。

「ひと目で、彼女こそ児玉誉士夫のお妾さんにちがいないとわかりました。いわゆる“堅気の女性”とはちがう、強烈なオーラが全身から漂っていたのです」

 A記者は夜に押しかけた非礼を詫び、身分を名乗って、取材意図を告げた。

「え~、小山からまわってきたの? よくここがわかったわねえ。児玉? ああ、そういえば亡くなったのよね。別にたいした話もないけれど、それでもいい?」

 A記者は台所の小さな食卓で、Sさんと向かい合った。それから3時間近く、Sさんは驚くべき過去を“告白”してくれた。

【後編は「『大きなトランクを開けたら軍票がギッシリですよ』 政財界のフィクサー『児玉誉士夫』が愛した『女性』が語っていた秘話〈ロッキード事件から50年〉」】

森重良太(もりしげ・りょうた)
1958年生まれ。週刊新潮記者を皮切りに、新潮社で42年間、編集者をつとめ、現在はフリー。音楽ライター・富樫鉄火としても活躍中。

デイリー新潮編集部

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