17年ぶりに再会した元カノは、息子に僕の名前を付けていた。家族ぐるみの付き合いが始まった2つの家庭の行方は

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4人での話し合い

 何度も4人で話し合った。そのたびに、このままではいけないと思うが、仁史さんはまた真未さんに会いたくなる。会わずにいると自分の足元がぐらついて、とんでもないことをしでかしてしまいそうになるのだ。会えばしばらくは落ち着いて、家庭にも注力できる。

「その後、美雪は『私、大学院に行く』と言い出しました。それほどキャリア志向ではなかった美雪が、急に将来を考えて大学院へ行くと。キャリアという言葉もやたらと口にするようになりました。自分のほうがよりよい人生を歩んでいると言いたいのかなとふと思ったこともあります」

 一方の真未さんはマイペースで仕事を続けているようだった。若い時期にとんでもない苦悩と葛藤を抱えたからこそ、真未さんは腹が据わっているところがあった。美雪さんには悪いと思っているけど、どうしようもないのよと言ったこともある。

「最後は私が地獄へ行くからと。あなたが地獄へ行くなら僕も行くよと言いました。悪いのは僕らだとわかっているけど、どうしようもない。どうしようもないというのはどういうことかと美雪に聞かれたんですが、気持ちの問題です。真未への気持ちを絶つことはできない。会えないようにすればいいという話でもない。どちらかが引っ越したら、それこそ家庭を崩壊させるしかなくなる。うちの妻も真未の夫も、それは避けたいという。僕も真未も、それぞれのパートナーには愛情がある。いっそふたりで死ぬしかないとまで思いつめましたが、死ぬこともむずかしい」

終わらない関係

 コロナ禍もふたりはひっそり会っていた。そして今も。会う頻度は少ないが、だからこそ続いてしまっているのかもしれない。仁史さんの息子と真未さんの息子は高校生になった。別々の高校に通っているが、ふたりは今も仲がいい。ときどき一緒にカラオケなどに行っているようだ。仁史さんの娘は中学生となり、真未さんを慕っている。

「子どもたちに隠しおおせているところだけはありがたいと思っています。美雪と、真未の夫がうまく立ち回ってくれているから。本当に感謝してる。だからこそ、僕らだけが地獄へ落ちればいいんです」

 キャリアアップした美雪さんは、引きがあって転職した。キャリア志向じゃないからと言っていた昔の彼女からは考えられないくらいエネルギッシュに生きている。

「人生は一筋縄ではいかないですね。他人から見れば、僕らがしているのは単なる浮気、不倫なんだろうけど、当事者の僕らにしてみれば、どうにもならない枷をはめられているようなものなんです。苦しいけど解けない、解いたら行き場がなくなってしまう。お互いが枷となっているんだけど、その枷こそが生きている証みたいになっている」

 ありていに言えば、どうにもならないくらい好きなんだと、彼は言った。「好き」だから「底なし沼だとわかっていても入り込んでしまったのだ」と。もしかしたら底なし沼だからこそ、足を踏み入れてしまったのかもしれない。先が見えず、もがき苦しむことが生きがいにもなるのが「恋」なのだから。まさに彼らは恋に生きている。

 ***

「底なし沼」とわかっていながら、真未さんとの関係を断ち切れない仁史さん。記事前編では、彼が美雪さんと家庭を築くまでと、大学時代の真未さんとの出会いを紹介している。

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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