マイホームの下見中に“忘れられない元カノ”とバッタリ遭遇…49歳夫が封印していた「死に物狂いの恋」

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「おめでたい男ね」

 彼女が連れていったのは、隠れ家のような瀟洒なマンションの一部屋だった。どういう育ちをするとこういうところに住めるのかと尋ねると「みんなの噂の通りよ」と彼女は他人事のように言った。

「自分を嘲笑うような口調なんですよ、彼女はいつも。それが気になって。どんな噂があってもいいよ、僕はあなたが好きなんだと言ったら、『おめでたい男ね』とまた小馬鹿にしたような言い方をされました」

 その日は彼女の好きな文学などについて、ぽつりぽつりと話してくれた。仁史さんは、毎日彼女に連絡をとった。反応がない日もあったが、それでもあきらめずに毎日連絡をとり、いいと言われれば会いに行った。彼女は徐々に心を開くようになった。

真未さんが抱えていた傷

「丸2年、かかりましたね。彼女があるとき、『私は母の恋人の愛人なの』って。なんだそれと思いましたが、妙な反応をしてはいけないと自分を抑え込みました。僕が驚いていないと思ったんでしょう、彼女は僕の顔を見ながら『母は、妻子ある人とつきあっているんだけど、そいつが私を好きなようにしたのよ。高校生のころにね』って。彼女の母親は、もともと『男を見る目がないくせに男好き』だそう。そんな母親の恋人が、娘を襲ったわけです。痛ましい話なんだけど、真未自身、母親への復讐もかねて、その恋人を利用している。彼から金を引き出して、あんないい部屋で暮らして、お金だけはたっぷりもらっていたらしい。『幻滅したでしょ。これが私の真実』と彼女は言いました。言いながら目が濡れていた。気づいたら僕も涙を流していました」

 なんであなたが泣くのよと言いながら、真未さんは泣き出した。泣くことを自分に許したような激しい泣き方だったから、それにつられて仁史さんも号泣した。

 それからふたりは初めて男女の関係になり、「絶対に離れない」と約束した。

 ***

 マンションの下見が招いた再会は、仁史さんの平穏な暮らしを大きく揺らすことになる。記事後編では、17年ぶりに向き合ったふたりが、再び抜け出せない関係に落ちていく姿を紹介している。

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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