「黄信号なんかで止まるなよ!」「手を上げてるのに無視すんな!」 タクシー運転手を襲う“カスハラ”の実態…「“駐停車禁止エリア”以外にもお客さんを乗せられない場合があるんです」

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ガソリンではなくLPガスを使う理由

 こうしたロング客に備えて、タクシードライバーが常に気にしておくことがある。燃料の残量だ。

「自分は隔日勤務で15時~翌朝8時が定時、時間が長いこともありその日の進捗具合によっては途中で給油しています。朝イチ『空港まで』と言われて『燃料少ないので行けません』なんて勿体ないことしたくないので」

 しかし、タクシーの給油は一般車ほど容易ではない。それは、一般のガソリンスタンドが使えないからだ。実は、思いのほか知らない人が多いのだが、ほとんどのタクシーは、一般車のようなガソリンではなく、LPG(LPガス)が使用されている。

 日本にLPガス車が登場したのは1940年ごろのこと。戦争によって不足したガソリンに代わる自動車用燃料として採用されたのがきっかけだ。タクシーにLPガスが使用されているのは、ガソリンよりも6~7割ほど安価なうえ、環境にもいいからだと言われている。1日中走り回るタクシーにとっては、都合がよかったのだろう。

「ガソリン等と併設のスタンドもありますが、オートガススタンドやLPGスタンドという名称のLPガス専門の施設があるんです。自分は流しメインで走っていますが、250~300km/日、給油22、3Lなので13km/Lぐらい。車種によっても差があるかと思いますが」

 LPガスを使用するうえでは、もう1つこんなメリットもあるという。

「ガソリンスタンドで給油ができないので、車が盗難に遭う危険は少ない気がします」(タクシー企業経営者)

 次回は、タクシー業界に存在する「謎ルール・慣習」や、ライドシェアなどについて紹介したい。

橋本愛喜(はしもと・あいき)
フリーライター。元工場経営者、日本語教師。大型自動車一種免許を取得後、トラックで200社以上のモノづくりの現場を訪問。ブルーカラーの労働問題、災害対策、文化差異、ジェンダー、差別などに関する社会問題を中心に執筆中。各メディア出演や全国での講演活動も行う。著書に『トラックドライバーにも言わせて』(新潮新書)、『やさぐれトラックドライバーの一本道迷路 現場知らずのルールに振り回され今日も荷物を運びます』(KADOKAWA)

デイリー新潮編集部

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