「黄信号なんかで止まるなよ!」「手を上げてるのに無視すんな!」 タクシー運転手を襲う“カスハラ”の実態…「“駐停車禁止エリア”以外にもお客さんを乗せられない場合があるんです」
おいしい「ロング客」
このように、営業区域を越える長距離で乗車する客のことを、現場では「ロング客」と呼ぶ。
先述通り、ロング客の場合は自分の営業区域まで戻る際に客を乗せられない可能性が高いため、営業区域内で乗車率を上げ、コツコツ売上を積み上げたほうがいい場合もあるが、それでもやはり1回で高い単価が狙えるロング客は、ドライバーにとってはいわゆる「おいしい客」になる。
特に運賃が1万円を超えることを「万収」と言ったりするそうだ。そのようなおいしいロング客は頻繁に捕まえられるわけではないが、捕まえやすい場所や条件などはあるという。
「高級ホテルでスーツケースを転がしている人は、空港まで行く可能性がある」
「テレビ局前ですね。取材記者さんを捕まえられると、稀に1日同行というケースもある」
「病院もロング客が出やすいです。体調が悪いなか、患者さんは公共交通機関を使うよりタクシーで家の玄関まで帰ろうとするので」
ちなみに、通常ではロング客に遭遇するとは考えづらいところで、突然ロング客を捕まえられることを「お化け」と言うそうだ。
「ドライバー同士の雑談で『◯◯(地域)でお化けが出たんだよ』なんて使われます。“お化け”との遭遇は怪奇現象レベルですからね(笑)」
泥酔客を起こす方法
もう1つ、「ロング客」または「万収」に繋がりやすいのは、深夜の繁華街だ。
「終電を逃した客はやはりロングになりやすいですね」
だが、繁華街で終電を逃した客の多くは「酔っ払い」だ。酒に酔った客を乗せる際は、リスクを伴う。
「嘔吐は言うまでもなく、厄介なのは爆睡して起きてくれない人です。何せお客様に触れることはご法度なので揺り動かすことなんてもってのほか。特に女性客なら大問題ですから。ひたすら声を掛け続けたり、スマホのアラームを耳元で鳴らしたり、冬場などは窓を全開にして冷気を入れる等々……。泥酔客は乗車拒否もできるんですが、酔ってタクシーで帰宅する人はやはり運賃が高い場合が多いんですよね。根気よく対応してます」
ちなみに回送のことを「ワカメ」と言うと紹介したが、この酔っ払い客のことも「ワカメ」というそうだ(ゆらゆら揺れていることから)。
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